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経営者保証ない融資促す 中小企業庁、数値基準を導入 2022/11/29

中小企業庁は「経営者保証」をつけない融資を金融機関に促す仕組みを導入する。企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など具体的な数値基準を設け、経営者保証がなくても融資できるかどうかの判断材料にする。企業にとっても融資を受けられる条件が分かりやすくなる。事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進む。

経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度成長期に確立された。金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う仕組みで、銀行には安心して融資できる面があった。一方で経営者は銀行からお金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりするとの指摘も多い。

金融庁は2023年4月から金融機関に対し、経営者個人が信用保証を負う場合、具体的な理由を説明するよう義務付け、事実上制限することを決めた。今回の中小企業庁の仕組みは、その一環となる。

中小企業庁は30日の有識者会議で詳細を公表し、来年4月から導入する。現在のガイドラインには経営者保証をつけない融資を受けるための要件として①法人・個人の分離②財務基盤の強化③経営の透明性確保――の3つがある。新たにそれぞれに具体的なチェック項目を策定する。

例えば、財務基盤の強化では、「(有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)EBITDA有利子負債倍率が15倍以内」「減価償却前の経常損益が2期連続赤字でない」といった目安を設ける。

経営の透明性確保については「経営者は日々、現預金の出入りを管理する。終業時に金庫やレジの現金と記帳残高を一致させるなど収支を確認する」といった趣旨の具体例を示す。

新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となる。ただ、これまでは経営者保証をつけるかどうかの交渉で金融機関ごとに基準が異なっていたり、基準がなかったりした。経営者はどのような点をどのくらい改善すれば、経営者保証をつけずに済むかわかりにくかった。

経営者保証をつけない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっている。金融庁は現状の経営者保証について「合理的な理由がなく不必要に経営者保証を付けている例が多い」と指摘している。

今回、中小企業庁が数値基準などを導入することで、経営者保証を巡る金融機関と企業の交渉の透明性が増す。銀行側は財務面だけでなく、アイデアを評価して融資するなどリスクを取る姿勢に転換できるかが今後の焦点となる。

中小企業庁は中小企業の収益力改善やガバナンス体制を整備するための実務指針案も示す。金融機関や税理士、中小企業診断士向けで指針を活用してもらうように促す。

(日本経済新聞)

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