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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

習氏3期目、長期政権入り 指導部発足、首相候補に李強氏 2022/10/24

【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記は23日、3期目の最高指導部を発足させた。首相候補に上海市トップで側近の李強(リー・チャン)氏を起用した。長期政権をにらみ自らに近い党高官ばかり昇格させた。後継候補も置かなかった。行きすぎた権力集中にはブレーキ役がいなくなるリスクもある。(関連記事総合・政治、総合・経済、国際面に)

23日の重要会議、中央委員会第1回全体会議(1中全会、総合・経済面きょうのことば)で党高官の人事を決めた。22日閉幕した党大会で選出された約200人の中央委員が24人の政治局員(指導部)と7人の政治局常務委員(最高指導部)を選んだ。

習氏は党トップの総書記、国家元首の国家主席、軍トップの中央軍事委員会主席の3ポストを継続する。いずれも任期の定めはなく、次の党大会の2027年以降も続投する可能性がある。習氏は23日、国内外の記者を前に「中国式の現代化によって中華民族の偉大な復興を全面的に推進する」と語った。

常務委員7人のうち新メンバーは4人。いずれも習氏側近とされる。党序列2位で来年3月の全国人民代表大会(全人代)で首相に就く見通しの李強氏が注目される。

李強氏は上海の都市封鎖を巡る混乱で批判を浴び、一時は最高指導部入りも危ぶまれた。首相には副首相経験者が就く慣例があり、未経験の李氏は異例の抜てきだ。

習氏が浙江省トップ時代に秘書長として仕えた。習氏は現首相の李克強氏との溝が指摘された。経済運営を担う首相を信頼できる人物に任せたかったとみられる。

北京市トップの蔡奇(ツァイ・チー)氏も指導部の事務を担う中央書記処書記に就く。習氏の福建省勤務時からの部下。蔡氏も出稼ぎ労働者を追い出す政策が批判されたが習氏の信頼は揺るがなかった。

日本の官房長官に相当し、習氏の「女房役」の丁薛祥(ディン・シュエシアン)氏も昇格。筆頭副首相に就くとみられる。広東省トップの李希(リー・シー)氏は習氏の父親時代から知り合いで、腐敗を取り締まる中央規律検査委員会の書記に就く。

趙楽際(ジャオ・ルォージー)氏と王滬寧(ワン・フーニン)氏は留任。趙氏は全人代委員長、王氏は全国政治協商会議主席に就く見通しだ。

一方、胡錦濤前総書記や李克強氏を輩出した共産主義青年団(共青団)出身の胡春華副首相は政治局員から外れ、ただの中央委員になった。胡氏は首相候補だったが異例の「降格」といえる。

23日には軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会のメンバーも公表した。党トップに就くには軍事委副主席の経験が必須だが、今回も常務委員から起用しなかった。習氏が後継指名を見送ったことを意味する。

防衛大学校の佐々木智弘教授は「最高指導部の新メンバー4人は10年後にいずれも70歳を超え、習氏後継になりえない。習氏は次の党大会の27年以降もトップをやるつもりだ」と分析する。

(日本経済新聞)

中国最高指導部、「習派」8割に 政治リスク増大懸念 2022/10/24

【北京=多部田俊輔】3期目となる新たな習近平(シー・ジンピン)指導部が23日に発足した。習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占めた。序列24位以内の政治局員でも約7割とみられ、権力集中がいっそう進んだ。習氏と距離があるとされる胡春華氏が降格したほか、年上の「重し」役も去り、政治リスクはより強まっている。

新たな最高指導部をみると、習氏「1強」が色濃くなった。序列2位で次期首相候補となる李強(リー・チャン)氏は浙江省出身。習氏の浙江省トップ時代に秘書長として働いた。同4位の蔡奇(ツァイ・チー)氏も習氏が福建・浙江の両省にいた時代に仕え、習氏の信頼が厚いといわれる。

留任した趙楽際(ジャオ・ルォージー)氏、汚職摘発を担う規律検査委員会のトップとなった李希(リー・シー)氏は、ともに習氏や父の習仲勲・元副首相とゆかりがあり、習氏が厚い信頼を寄せるとされる。同6位の丁薛祥(ディン・シュエシアン)氏は日本の官房長官に相当する党中央弁公庁主任を務め、習氏を支えてきた側近中の側近だ。

残る同4位の王滬寧(ワン・フーニン)氏は、習氏や江沢民氏、胡錦濤氏の3代にわたる総書記に仕え「三代帝師」との異名を持つ。習派には該当しないが、習氏に忠誠は尽くしている。

一方、李克強首相を輩出した共産党の青年組織「共産主義青年団(共青団)」、江氏らを柱とする「上海閥」といった習氏と距離があるとされる勢力は一掃された。

最高指導部の平均年齢は5年前の63歳から65歳に上昇した。習氏は69歳と最高齢となり、習氏に耳の痛い進言をしやすい年長者もいなくなった。習氏にとってはトップダウンで物事を決めやすい環境がより整ったが、一度決めた方針を軌道修正しにくくなるとの懸念も高まっている。

最高指導部のメンバーをみると、習氏の後継者も見当たらない。中国共産党は胡氏の時代まで、指導部が新しくなるごとに、後継者と目される若手を登用してきた。習氏も胡氏の2期目である2007年に、李克強氏とともに常務委員に抜てきされている。

ただ今回、最も若い60歳の丁氏はこれまで党最高指導部への登竜門とされる地方トップの経験がなく、党全体を率いるとは考えにくい。「後継者が不透明となっており、習氏はさらなる長期政権を視野に入れている」(中国政府関係者)との見方も出ている。

政治局員全体でも、「習派」が7割程度を占めるとみられる。浙江省時代に習氏のスピーチライターを担った陳敏爾・重慶市党委書記や、福建省と浙江省時代の部下だった黄坤明・党中央宣伝部長は政治局員にとどまった。陳吉寧氏は今回、最高指導部入りした蔡奇氏を支えており、習派と目される。

今回から政治局員が24人と、1人減った。政治局のメンバーは毎月1回集まり、党と国の重要政策について議論している。意見が割れた際に多数決で選ぶため、奇数が多かった。

女性の政治局員登用が25年ぶりにない特異な体制ともなった。従来は経済や防疫などで手腕を発揮した呉儀氏、社会問題を担当した劉延東氏、新型コロナウイルス対策を担った孫春蘭氏といった女性が選出され、副首相などを務めてきた。

約2300人いる党大会の代表でみると、女性は約620人で全体の3割弱に上った。ただ党序列上位約200人の中央委員では11人と前回から1人増えたのみで、約5%にとどまった。

中国では、夫婦共働きが一般的だ。企業では女性経営者も目立つなど女性の社会進出は比較的進んでいるといえる。ただ、共産党の組織内に限れば、女性活用の流れは後退した格好だ。

(日本経済新聞)

習氏の「革命」世界に問い 2022/10/24

中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記の3期目政権が発足した。中国と世界は大きな節目を迎えた。

党の集団指導体制は名実ともに終わった。台湾海峡も世界第2位の経済もその行方はただ1人の指導者が握る。さらに大きな変化は、習氏が民主主義陣営と決別しようとしていることだ。

習氏は共産党大会の活動報告で「中国式」という言葉を繰り返した。西側諸国の価値観に従うのではなく、中国独自の道を行く考えを示したものだ。その基盤は人々の思考や生活まで「党がすべてを指導する社会」。自由や多様性とは対極だ。

習氏が2012年に総書記に就いた時「民主主義に理解がある」との期待もあった。「市場経済の発展と同時に思想政治工作を強化すべきだ」など改革開放期の論文をみれば甘い見方とわかる。

こうした考えを形作った一つの要因は青春期の経験だろう。習氏は知識青年を農村で働かせる「下放」で15歳からの7年間を黄土高原の寒村で過ごし、マルクス主義や毛沢東思想に傾倒した。

習氏の考えは長い間、理想にすぎなかった。理想を「確信」に変えたのは民主主義陣営の混乱だ。

「世界は100年に1度の大きな変局に直面している。時機は我々に有利だ」。新華社通信は21年1月、米国で連邦議会議事堂襲撃事件が起きた5日後、習氏が口にしたこんな自負を伝えた。

党大会で習氏は「マルクス主義の中国化と現代化」も掲げた。毛沢東が社会主義の実現を目指した革命は、経済の窮乏を招いた。共同富裕を実現し「社会主義革命2.0」を達成すれば毛沢東を超える――習氏がこう考えても不思議ではない。

民主主義社会は確かに新たな分断や格差に混乱している。極右勢力が台頭し、政権を担う国も出てきた。民主主義社会で暮らす人の数も減る。

だが、見落とされている事実がある。マルクスは資本主義の発展で労働者の貧困が加速すると考えたが、実際には分厚い中間層が出現した。原動力となったのは自由に裏打ちされた個人の力だ。

中国にも人口減少や若者の失業など深刻な課題がある。いずれも経済成長やイノベーションなしには解決が難しい。個人の力を抑え込む「中国式現代化」では問題を拡大する可能性すらある。

経済が混乱すれば社会への抑圧は加速し、台湾問題で「成果」を急ぐ恐れも増す。その時、習氏を止める仕組みは中国共産党から消えつつある。

中国式への確信を強めた習氏は国際社会の説得や制裁を顧みないだろう。厳しい監視下にある人々の抵抗も難しい。習氏の確信を崩すには外の世界が自由と個人の力をみせつけるしかない。

中国への防御を固めつつ、民主主義を鍛え直し、その価値と魅力を再び発信できるか。民主主義のレジリエンス(回復力)が問われている。

(中国総局長 桃井裕理)

(日本経済新聞)

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