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習近平氏、異例の3期目へ 中国共産党大会16日開幕 2022/10/01

中国の権力体制を固める第20回共産党大会が10月16日から開かれる。3期目を確実にしようとしている習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が米国との対立をにらみどのような布陣を敷くのか。注目点を紹介する。

党大会は中国共産党の指導体制や基本方針を決める最高意思決定機関。首都北京で5年に1度開き、党幹部である約200人の中央委員らの選出のほか、党規約の改正や重要な政策課題を討議する。会期は一週間程度で、各地域などを代表する党員約2300人が集まる。

▼国家の最重要会議
今回は1921年7月に結党のため開いた第1回党大会から20回目となることから、第20回党大会と呼ばれる。

中国では立法や司法、行政まで共産党がすべてを指導する。共産党は政府にあたる国務院や、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)より上位に位置付けられており、党大会が国家の重要方針を決める場となる。

党大会初日の16日に党トップの習氏が過去5年間の中国を振り返り、将来を展望する活動報告をする。大会最終日に党幹部の中央委員約200人を党員代表約2300人が投票で選出する。具体的な選び方は明かされていないが、あらかじめ200人強の候補者が載ったリストを党中央で作成するようだ。得票の少ないごく一部が落選する仕組みとされる。

選ばれた中央委員は大会閉幕の翌日に第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開いて党序列上位25位以内の政治局員を選ぶ。その中から最高指導部の政治局常務委員を決め、常務委員の中から総書記を選ぶ流れとなる。

習氏は2007年の党大会を経て最高指導部入りし、12年の党大会後に総書記に就任した。今回の党大会で3期目入りが見込まれている。

党トップの総書記の任期は原則10年とみなされてきた。江沢民(ジアン・ズォーミン)氏は1989年6月の天安門事件を受けて急きょ登板し、1992年の第14回党大会で正式に選ばれた。そこから10年で総書記ポストを胡錦濤(フー・ジンタオ)氏に渡した。

習氏は異例の3期目となるため、どのような形で最高権力者として続投するのか注目が集まっている。

▼習氏は3ポスト継続か
習氏はこれまで通り、党トップの総書記、軍トップの中央軍事委員会主席、対外的な国家元首である国家主席の3ポストをそのまま続けるのが有力シナリオだ。江氏以来、3ポストを兼務するのが慣例になっている。

国家主席はもともと2期10年と憲法で任期を定めていたが、18年に改正して制限をなくした。中央軍事委員会主席には任期はなく、総書記もついても明示された規定がない。

香港紙、明報は習氏に党大会で「人民の領袖」の称号が与えられると報じた。建国の父、毛沢東が「偉大なる領袖」とたたえられたことになぞらえて、習氏の権威を高める狙いがある。中国共産党の機関紙、人民日報はこれまで習氏を「領袖」と形容したことがあるが、党の公式文書に刻まれるかが焦点になる。

明報は習氏が総書記ポストを退き「領袖」として事実上党のトップとしてふるまう可能性にも触れている。改革開放を進めた鄧小平は江氏を総書記に就けた後にすべての要職から退いたものの、カリスマ性を発揮して最高実力者として君臨した。

毛沢東が死去するまで手放さなかった「党主席」ポストを復活させて習氏が就くとの観測もくすぶる。

党主席は毛沢東に権力が集中し文化大革命の発動につながったとの反省から鄧小平の時代に廃止したポスト。習氏の権威は毛沢東に並ぶ可能性があるが、独裁政治に道を開くとの警戒が党内は強い。すでに「1強」体制をつくり上げた習氏があえて党内の慎重論まで押し切って復活させるか関心が集まる。

▼最高指導部の構成に注目
習氏1強の先行きを占う上で、最高指導部である政治局常務委員会の構成メンバーは重要だ。現状で7人のメンバーのうち、習氏と若い頃から知り合い気心が知れるのは党序列3位の栗戦書(リー・ジャンシュー)・全人代常務委員会委員長(国会議長)のみ。栗氏と韓正(ハン・ジョン)筆頭副首相は引退すると見込まれている。

習氏は上海で見いだした丁薛祥・党中央弁公庁主任や浙江省トップ時代からの側近である李強・上海市党委員会書記、陳敏爾・重慶市党委員会書記、福建省勤務時代からの黄坤明・党中央宣伝部長らを重用してきた。一部を最高指導部に抜てきし多数派の形成を進めたい意向とみられている。

一方で習氏との溝が指摘される李克強(リー・クォーチャン)首相は首相を退任するものの、全国人民代表大会(全人代)常務委員長として最高指導部内に残るとの観測が根強い。

▼「三代帝師」の行方は
習氏が進めてきた広域経済圏「一帯一路」構想や国益のぶつかる相手には容赦のない言動で威嚇する「戦狼(せんろう)外交」は党大会後も続くのか。カギを握るのは党序列5位の王滬寧(ワン・フーニン)氏の動向だ。

王氏はかつて政治思想の参謀役として江元総書記や胡前総書記にも仕えた。習氏の政治指導役も務めたことで「三代帝師」の異名をとる。

習氏が打ち出した米国との対決姿勢も王氏の思想的な影響が大きいとされる。王氏はすでに最高指導部入りをしており、続投が有力視されている。ただ、王氏の思想は米国や欧州と対立や摩擦を生んできただけに、党内で風当たりも強い。

▼経済運営担う首相も交代
新型コロナウイルスの感染者を限りなくゼロに近づける「ゼロコロナ」政策の影響などで中国経済は低調だ。経済政策の舵取りを担ってきた李首相は憲法の規定で3選が禁止されており、2023年3月に首相職を退く。李氏の後継候補には複数の名前が挙がっている。

中でも有望とされるのが党序列4位の汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席や胡春華(フー・チュンホア)副首相だ。胡氏は党の青年組織、共産主義青年団(共青団)のトップのほか、中国経済の要となる広東省などの自治体トップを歴任した。汪氏は鄧小平に見いだされた人材だ。胡、汪両氏は首相になるための前提条件ともいえる副首相を経験した。

李首相は共青団の後輩である胡氏の首相への登用を働きかけているとの見方もある。ただ習氏は共青団の組織力を警戒するあまり、これまで胡氏を遠ざけてきた。

習氏は側近の上海市トップ、李強氏を首相にしたい考えとされるが、今年春の上海市の都市封鎖(ロックダウン)を巡る混乱は党内で批判を招いた。「最高指導部に入る可能性はあっても首相職は難しいのでは」(ベテランの党員)とみる向きは多い。

首相を支える4人の副首相ポストも注目だ。習氏の幼なじみとされる劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は引退する見通し。後任に習氏が福建省勤務時代に知り合った何立峰国家発展改革委員会主任が就くとの予想がでている。

▼習氏後継候補、複数配置か
まだ60歳前後の丁薛祥・共産党中央弁公庁主任と胡春華副首相が最高指導部に入った場合、習氏の後継候補として注目を集めそうだ。党トップになるには常務委員の一員としての経験が不可欠で、2027年の第21回党大会でも続投できる年齢のためだ。

北京の政治学者は「習氏はあと10年はやるつもりだろう。丁、胡両氏のほかに李強氏も最高指導部に入れて誰が後継の本命かわからないようにするのでは」とみる。

党序列25位以内の政治局員ポストを巡る駆け引きも注目される。李首相や胡副首相に連なる50代の共青団出身の幹部が複数待機している。彼らは今回政治局員に入り、27年の党大会で最高指導部入りを果たせば、32年の党大会で習氏後継を狙える立場になる。

▼党の憲法も改正
党の憲法ともいわれる党規約も改正する。香港紙の星島日報は、習氏の権威を高める政治スローガン「二つの確立」を明記すると報じた。習氏の党の「核心」としての地位と、習氏の政治思想をともに確立することを党内に求める意味がある。

星島日報は習氏が重視する台湾統一を巡っても、これまでよりも表現を「台湾問題を解決し、祖国の完全統一を実現することは、党の揺るがない歴史的任務」に強める見通しと伝えた。

(北京=羽田野主、大連=渡辺伸)

(日本経済新聞)

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