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職場に潜む「違法」の穴 営業秘密や個人情報のリスク対策急務 転職、問われる情報管理 2023/05/08

新卒や転職、配置転換などでこの春から新たな職場で働き始めた人も5月に入ると徐々に慣れてくる。だがその職場では当たり前でも、実は法令に抵触するような内容の業務慣習が交じっている場合が少なくない。転職や育児休業、中途退職など様々な場面で、見落としがちな違法リスクが潜んでいる。

4月下旬、警視庁が大手商社「双日」の本社などを不正競争防止法違反の疑いで家宅捜索した。社員が同業他社から転職する際に情報を不正に持ち出した疑いが浮上したためだ。

22年秋には、回転ずしチェーン「かっぱ寿司」運営のカッパ・クリエイトの元社長が、転職前に在籍していた同業他社の仕入れ情報を不正に持ち出したとされる事件も起きたばかり。転職者を通じた情報漏洩の問題が続いている。警察庁によると、22年に全国の警察が摘発した営業秘密侵害事件は前年より6件多い29件で、統計を取り始めた13年以降で最多だった。

企業の危機管理に詳しい島田まどか弁護士は「転職者が許可なく前の会社から持ち出した情報を転職先で活用するのは、本人にも企業にもリスクが高い」と警告する。持ち出した情報が不正競争防止法上の「営業秘密」にあたれば、本人や企業が営業秘密侵害の罪に問われる恐れがある。営業秘密侵害罪の法定刑は、10年以下の懲役または2000万円以下の罰金(またはその両方)と重い。

同法では「営業秘密」の3要件として、(1)秘密として管理されている(秘密管理性)(2)事業などに有用(有用性)(3)公に知られていない(非公知性)を挙げる。最も重視されるの秘密管理性だ。データにパスワードを設けたりアクセスを制限したりして一般情報と区別して管理していると、該当する可能性が高くなる。

営業秘密以外でも、前職で知った情報の持ち出しが問題になることがある。多くの企業は就業規則や退職時の誓約書などで職務上知った情報を外部に伝えることを禁じる。企業への秘密保持義務が生じており、違反すると損害賠償を請求される恐れなどがある。

転職者自身の個人情報も慎重な扱いが求められる。

違法リスクがあるのが、転職先の企業が本人の同意を得ずに、前の職場の働きぶりや周囲の評価について元の同僚らから聞き取る行為だ。職業安定法に抵触する可能性がある。

「あの人の勤務評定は最高レベルでした」など、情報を漏らした元同僚らの側の行為も、個人情報保護法違反にあたる恐れがある。

個人情報保護法は、本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを原則として禁じる。企業の人事・労務問題に詳しい小鍛冶広道弁護士は「典型的なのは成績情報。従業員名簿や賃金台帳といったデータベースに掲載されている情報も、個人データに当たる」と指摘する。

職業安定法に関する厚生労働省の指針では、採用企業が個人情報を集める際は本人の同意が必要と定める。同意なく調査会社に依頼すれば指針違反だ。労働局から是正指導を受け、その後の是正措置の報告が必要になる可能性がある。

小鍛冶弁護士は「企業は、正々堂々と転職者本人の同意を取って情報収集すべきだ」と話す。転職希望者から同意を得たうえで、出身企業の同僚や上司の評価を集めて参照する行為は「リファレンスチェック」と呼ばれ、日本でも普及しつつある。

(渋谷江里子、松本史)

(日本経済新聞)

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