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職探すシニア25万人、10年で2.2倍 ミスマッチ解消必須 2024/01/03

仕事を探す65歳以上のシニア層が急増している。ハローワークで職を探す有効求職者は25万人と10年間で2.2倍になった。長い老後を過ごすために働かざるをえない面もある。労働人口の減少を踏まえ、人手不足の解消につなげる工夫が欠かせない。

「70歳までは働きたい。家にずっといると体もなまってしまうし、完全に仕事から離れるのも不安だ」。長く勤めた会社の延長雇用が2023年11月に満了した男性(66)は12月半ば、ハローワーク池袋(東京・豊島)で職探しに向けた手続きをしていた。

フロアの一角に設けているシニア向け窓口には、毎日100人を超す求職者が仕事探しの相談に訪れる。「70歳代や80歳代の人も目立つ」と担当者は話す。

ハローワークで仕事を探す人は徐々に高齢者にシフトしている。有効求職者を年齢別にみると、2001年から18年は25〜29歳が最多でフリーター対策など若者の雇用先確保が重視された。現在は65歳以上が逆転した。

有効求職者について23年1〜11月の平均値を10年前と比べると、25〜29歳は10万人減って19万6000人となった。一方で65歳以上は14万人増の25万6000人だった。

求職者全体に占める65歳以上の割合は13%と、10年前の5%から8ポイント上昇した。55歳以上まで含めると求職者全体の3分の1に達する。高齢化で人口の年齢構成が変わったことに加え、日本の雇用ルールの影響もある。

日本の企業には高年齢者雇用安定法で、希望があれば65歳まで雇用する義務が課されている。65〜70歳については努力義務にとどまる。働き続けるには別の職種や業種への転向が必要なケースもあり、希望する仕事内容とのミスマッチの解消が必要だ。

仕事を探す人が就職した割合を指す就職率を巡っては、高齢者は低い傾向にある。直近11月をみると全年齢の合計は27%だが、65歳以上は21%どまりだった。

ハローワーク池袋の担当者は「シニアには事務職の人気が高いが、求人はマンション管理や清掃などが集まりやすい」と明かす。月3回程度のセミナーで幅広い職種に目を向けるよう促している。

慢性的な人手不足に悩む業界でシニア人材の雇用促進に取り組む企業もある。

人材派遣のスタッフサービスは、介護の仕事を起床や食事、入浴、清掃など48種類の業務に細分化する仕組みをつくった。仕事を探す人の経験や希望を踏まえ、未経験者の就労機会の拡大につなげる。

同社の派遣を通じ介護業界で働くシニア人材は4年間で3倍になった。

経済協力開発機構(OECD)のデータでは労働市場に参加する日本の65〜69歳の割合は22年に人口の52%だった。米国は33%、英国は26%、ドイツは20%で、データのある37カ国で最も高い。日本は70〜74歳も34%で、41%の韓国に次ぐ。

高齢になって年金だけでは収入が不十分となり、経済的不安が高まる。金融庁は19年、老後に2000万円の資金が必要だとの試算を示した。生活スタイルによるが2000万円では足りないとの指摘もある。

人口減で働き手の不足が懸念される。働く意欲のあるシニア人材の活用が産業全体で進めば、供給制約の緩和や潜在成長率の押し上げにつながる効果を期待できる。

(マクロ経済エディター 松尾洋平)

(日経新聞)

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