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解剖・3メガ銀の成長戦略(上) 三菱UFJ、柱はデジタル 「本業」利益は4割弱に低下 アジアに種まき加速 2021/11/18

新型コロナウイルス禍のなか、2021年4~9月期の3メガバンク合計の連結純利益は半期の過去最高を更新した。ただ政策効果と前年同期の反動増でかさ上げされた面が大きく、超低金利下で落ち込んだ稼ぐ力が本格回復したとは言いがたい。次の成長に向けた戦略を点検する。

「過去最高益という響きほどは強くない」。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は15日の決算記者会見でこう語った。4~9月期の連結純利益は10年ぶりに最高益を更新し、通期でも7年ぶりに1兆円の大台を回復し最高になる見通しを示したにもかかわらずだ。

一時的な追い風が吹いた決算との認識があるためだが、根底には好決算を維持しているうちにどれだけ次の成長につながる種まきができるか、という危機感がある。前回、最高益だった15年3月期時に純利益の5割強を占めていた銀行は足元で4割弱まで低下し、「本業」の再定義を迫られている。

大きな柱になるのがデジタルだ。12月には東京海上日動火災保険や大和証券などグループの垣根を超えて、さまざまな金融商品をひとつのアプリで提供するデジタル基盤「マネーキャンバス」を始める。三菱UFJ銀行のサービスとしてだけでなく、幅広い金融商品の販売仲介を手がける金融サービス仲介業者や地銀にも提供する。

法人営業分野でも経営支援システムを手がけるビジネステック(東京・千代田)を買収し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を軸に業務効率化を支援する。これも自社だけでなく、地銀にも導入を促す。矢継ぎ早に打ち出す施策に共通するのは、旧来型の資金ビジネスではないデジタル起点の収益モデルという点だ。

亀澤氏が22年3月期から始まった3年間の中期経営計画で掲げた「世界が進むチカラになる。」というパーパス(存在意義)に「金融」や「銀行」の文言が入っていないのも、銀行そのものをトランスフォームする変革の必要性を強く感じているためだ。

子会社の米地銀MUFGユニオンバンクのリテール事業の売却も同じ文脈だ。約9000億円の売却資金のうち、約3000億円をアジアでの成長投資や資産運用分野でのM&A(合併・買収)にあて、成長への種まきの原資となる。さらに売却先の米地銀USバンコープと業務提携し、同社が強みとするデジタル分野のノウハウを日本やアジアで展開する。

邦銀の米国進出の象徴的な存在で「私自身、思い入れがある」(亀澤氏)というユニオンバンクの売却は、三菱UFJが事業構造の改革に聖域なく踏み込んだことを意味する。

もうひとつの柱であるアジアでも20年に配車アプリ大手グラブ(シンガポール)に780億円を出資したほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国に資本関係を持つ商業銀行網を築いた。アジア地域で稼ぐ純利益は全体の1割近くまで増え、15年3月期(4%)から上昇している。今後インドネシアのバンクダナモンとグラブの共通ブランドのクレジットカード発行など、相乗効果が試される段階に入る。

もっとも、改革の取り組みには「大きな収益につながるとは思えない」(三菱UFJ関係者)といった声もある。ただ、「金融のプラットフォーマーになる」(亀澤社長)という戦略は、旧来ビジネスで利益をあげられているうちにいかに種まきして芽吹かせるかがカギを握る。

1兆円を安定的に稼ぐ計画を掲げる三菱UFJ。7年ぶりにたどり着く1兆円台は最低到達ラインにすぎない。宣言通り収益基盤を盤石なものにできるかどうか。1兆円の中身の変革も問われることになる。

(日本経済新聞)

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