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資産運用、流行主義が阻むプロ育成 長い目で成長投資を 資産運用立国に挑む 開国の障壁 2023/11/16

野村アセットマネジメント出身の高柳健太郎氏は2021年、独立系運用会社の日本橋バリューパートナーズを立ち上げた。野村では20年以上日本株のバリュー(割安)株運用を手掛け、ピーク時には9000億円超に上った旗艦ファンドを育てた。30年の勤続を経て起業したのは、20年に米国の大手投資家から言われた一言がきっかけだった。

「『ケイレツ』の運用会社には投資しない」。大手の系列だと親会社の力が強く、顧客の利害と相反する点を的確に指摘された。実績豊富で優れた手腕があっても、サラリーマン運用者である限り米国では相手にされない。「世界に通用する運用品質を実現するには独立しかないと考えた」という。

日本の運用業界では長らく、親会社である大手の銀行や証券会社が売りやすい投信を組成してきた。個人はその時々の流行にあわせて購入を促され、運用能力という最も重視すべき要素は二の次にされてきた。結果、既存の運用会社が温存され、業界の新陳代謝は進まなかった。

金融庁によると、日本で資産運用残高の上位20社のうち、独立系は15%にとどまる。一方、世界の上位30社だと独立系は86%に達しており、日本の特異さが際立つ。

米国は今でこそ投資大国だが、昔から活発だったわけではない。米国株相場は1970年代に長く低迷し、「株式の死」という言葉すら生まれた。苦境にあるなか、投資を広める役割を担ったのが米資産運用大手フィデリティ・インベスメンツで主力商品「マゼラン・ファンド」を手がけたピーター・リンチ氏だ。

1977年から13年間担当し、年率で約30%の上昇という驚異的な成績を残した。根底にあったのが成長株への長期投資だ。フィデリティによると、100世帯に1世帯がマゼランに投資したことがあるとされるほどの人気だった。

長期投資を尊重する風土は今も息づく。例えば、米資産運用大手キャピタル・グループ。多くの運用会社は1年ごとの成績を評価の軸に据えがちだが、キャピタルは「8年間」の成績に重きを置く。目先のテーマを追わざるをえない日本の運用会社とは一線を画す。

もっとも、日本でも変革の芽は育ちつつある。

野村アセットは海外資産の自社運用を本格化している。コストの観点から外国企業に丸投げするのが業界の通例だが、小池広靖社長は「海外投資家から選ばれる運用力を身につけたい」と語る。足元では外国株ファンドが世界最大級の機関投資家、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に採用されるなど出足は好調だ。

個人を啓発する動きもある。農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)が扱う投資信託「おおぶね」シリーズは、保有者向けに投資先の事業モデルや長期投資の重要性などを発信するセミナーを毎月開く。日本に6000本弱ある公募投信の中でも異色だ。

インフレで現金が減価するなか、資産を守るには「株式を保有して企業のオーナーになることが大事」(奥野一成最高投資責任者)。

資産運用立国の実現には、「運用のプロ」をどれだけ増やせるかが大きな課題となる。

(日経新聞)

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