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資産運用、規模劣る日本勢 首相が抜本改革指示 能力差拡大、プロ人材の育成急務 2023/04/27

岸田文雄首相は26日、金融庁に運用会社の抜本的な改革を進めるよう指示した。内向きになりがちな運用会社の姿勢にしびれを切らした形だ。日本は世界的にみれば中堅クラスの運用会社が林立し、経営体力で圧倒する米国勢と運用能力で差が広がる。運用力を早期に強化しなければ、2千兆円に達する個人資産が国内市場を一段と素通りしかねない。

世界の金融機関の資産運用残高(21年末)をみると、首位のブラックロックは日本円換算で約1330兆円、2位のバンガードは1130兆円と米国勢が上位を独占する。日本では首位の野村アセットマネジメントでも75兆円にとどまり、順位も50位以下に沈む。

ブラックロックは豊富な経営資源を武器に世界の主要都市に拠点を設け、世界の株や債券、オルタナティブ(代替資産)で運用する体制を整える。ブラックロックの日本法人は投信や上場投資信託(ETF)の手数料の引き下げで競争をしかけるなど、日本でも存在感を高めている。日本の運用会社に世界をカバーする運用ノウハウはなく人材も不足する。自前で海外企業を分析して投資先を決めるのは限界があり、外国株で運用するアクティブ投信の流入資金の約9割は海外の運用会社に運用を委託する。国内運用大手が海外の運用会社に支払う委託費は、純利益を上回る水準にまで膨らんでいる。

近年、米国株などに直接投資する日本の個人投資家が増えているが、たとえ日本の運用会社のアクティブ投信を購入してくれても、その手数料の一部が委託費として、事実上、海外に流出しているのが実態だ。日本の運用会社は母国市場に2千兆円の膨大な個人金融資産を抱えながら、収益機会を二重にとりこぼしているといえる。

日本の投資信託で国際分散投資が主流になるなか、海外の運用会社に運用を実質的に丸投げする現状に金融庁は危機感を強める。ファンドマネジャーとして腕を磨く機会が少なくなれば優秀な運用人材は海外に流出し、世界のトップとの差は一段と広がりかねない。

金融庁はスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)を策定し、運用会社に投資先とのエンゲージメント(対話)を通して企業価値の向上に結びつけるよう働きかける。運用会社でエンゲージメントに携わる人材は少なく、効果をうまく発揮できていない。

国内の運用会社の上位20社のうち7割は大手金融機関のグループに属する。グループ内では投信の売り手である銀行や証券の力が強く、商品開発や運用戦略も影響を受けやすい。世界の運用大手でみると9割弱は大手金融機関のグループに入らない独立系だ。

日本の運用会社の経営トップは、グループの役員異動の一環として決まる傾向が顕著だ。日本では7割以上の運用会社のトップが就任3年未満であるのに対して、世界の大手は5年以上が多い。日本では運用経験に乏しい人材がトップに就くケースもある。金融庁はトップの選任理由を明確に示すよう運用会社に求めている。

情報開示にも課題はある。海外ではひとつひとつの投信ごとに運用担当者の氏名を開示している。運用責任を明確にする狙いだ。日本でも運用責任者の一覧をホームページなどに載せてはいるが、投信単位での運用担当者の開示は少ない。

運用会社の改革が進まなかったのは、親会社である金融持ち株会社の責任でもある。銀行や証券を本流として運用会社を傍流とみなし、経営資源も十分にさいてこなかった。国を挙げて「貯蓄から投資」を進めるなかで運用会社の位置づけは以前より高くなってはいるが、人材などの不足感は払拭できていない。

金融庁は運用会社の人事や報酬制度を柔軟にして、グループ内での独立性を確保できるような取り組みも促していく方針だ。

(湯浅兼輔)

(日本経済新聞)

「運用会社を抜本改革」岸田首相が指示 資産所得倍増へ 2023/04/26

岸田文雄首相は26日の経済財政諮問会議で、「資産運用業等を抜本的に改革することが重要だ」として、資産運用会社の運用能力を強化するよう金融庁に指示した。日本の運用会社は中長期の資産形成に向かない金融商品を多く作るなど課題が多く、個人の「貯蓄から投資」を促すには、運用会社の改善が必要と判断した。金融庁は資産運用業界の経営課題を取りまとめており、具体的な改革案を策定する。

運用会社の多くは大手の銀行や証券、保険のグループ会社に属する。金融庁は、金融商品を作り、運用する際に親会社の意向に左右されやすいことが問題だと認識している。中長期で運用成績を高めるよりも、銀行や証券会社の営業員が売りやすい人工知能(AI)やメタバース関連など短期的な流行を追った投資信託や、複利効果を得にくいとされる毎月分配型投信を多く作るなど、課題は長年指摘されている。

金融庁が4月にまとめたリポートでは、グループ人事を優先して運用経験が全くない役員を運用会社の経営トップにする事例もあるという。

家計の金融資産の半分を占める1000兆円の現預金を投資に回し、企業の成長を促しながら株価を上げて、資産所得を増やすのが政府の狙いだ。そのためには、個人の中長期の資産形成に適した運用会社の体制が欠かせないと判断。岸田首相は「2000兆円の家計金融資産を解放し、持続的成長に貢献する資産運用立国を実現する」と意欲を示した。

投信の市場規模は拡大している。投資信託協会によると、公募投信は3月まで71カ月連続の資金流入超で、純資産残高は166兆円と過去最高の水準にある。運用会社の運用体制を改め、貯蓄から投資の流れを太くし、国民の資産形成に弾みをつける。

(日本経済新聞)

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