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起業資金提供に新手法 融資・社債+新株予約権、マネーフォワード系や紀陽銀 2022/05/25

スタートアップ企業に融資や社債などデット(負債)性の資金を提供する「ベンチャーデットファンド」が増えている。マネーフォワード系などが新設したほか、大和証券グループ本社もファンドの組成を検討している。銀行の融資に比べ機動的な資金調達を可能にする。調達手段の多様化で新興企業を支援する動きが広がってきた。

マネーフォワード子会社などが出資するSDFキャピタルは新興企業向けの「スタートアップ・デットファンド」を設立し、早ければ年内にも融資を開始する。規模は来春をめどに最大50億円を見込む。新ファンドにはSDFキャピタルのほか、紀陽銀行など数社が出資した。原則として融資に新株予約権を組み合わせて資金を提供する。

SDFキャピタル社長の福田拓実氏は24日記者会見し「ファンドをきっかけにデットの活用がスタートアップ全体に行き渡ってほしい」と話した。融資の審査は1カ月以内に実施。通常のベンチャーキャピタル(VC)や銀行からの資金調達よりも短い期間で資金を提供する。

国内のベンチャーデットファンドは増えている。あおぞら銀行傘下のあおぞら企業投資は1号ファンド(20億円規模)、2号ファンド(30億円規模)を設け、新株予約権付き社債を中心に資金を提供している。一部株式への投資も含め、これまで約20件に投融資した。同ファンドから資金調達した住宅ローン関連サービスのMFS(東京・千代田)の平山亮最高財務責任者は「億単位の融資にはどの銀行も及び腰だった。調達手法の多様化を考える中で、あおぞら企業投資の手法が合致した」と話す。

大和証券グループ本社傘下の大和PIパートナーズも新興企業向け融資のブルー・トパーズを3月に買収し、社名を大和ブルーフィナンシャルに変更。ベンチャーデットファンドの展開も予定している。

一般的にスタートアップの資金調達は、VCの第三者割当増資が中心だ。2021年の国内VCによる資本性資金の投資額は約8000億円。国内銀行はこれをはるかに上回る資金を持つが、銀行は決算書やキャッシュフローを重視して審査するため、企業が一定規模に成長するまで多額の融資を受けるのは難しい。投資が先行し赤字経営が続くスタートアップも多く、銀行のマネーは容易には供給されない。

ベンチャーデットには機動的な資金提供に加え、増資による株式の希薄化を防ぐメリットもある。与信方法も異なり、VCからの出資見込みや事業特性など新興企業特有の判断材料をもとに与信する。

新株予約権を組み合わせることで信用リスクを補完することも多い。金利水準は3~15%程度と一般的な金融機関(1~3%)より高く、通常の融資を十分に受けられる成熟企業には向かない。

海外では早くからベンチャーデットが広がり、新興企業の資金調達を補完してきた。米国ではVCによる投資額は21年に約36兆円。これに対しベンチャーデットは1~2割程度とされ、投資と融資の間を埋める役割を担っている。

岸田文雄首相は22年を「スタートアップ創出元年」と位置づけるが、日本は資金の出し手となる投資家や大企業が米国より少ない。ベンチャーデットファンドは日本のスタートアップ資金を拡大させる一助となる可能性があるが、ファンドの目利き力と実績をいかに引き上げるかが大きな課題となる。

(岩田夏実、フィンテックエディター 佐藤史佳)

(日本経済新聞)

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