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転職増加 賃金の天井突く 3人に1人が1割以上増 流動化、海外と差 2023/05/14

転職が賃上げのけん引役になりつつある。中途採用の平均年収は2023年に約3%上がり、平均賃金上昇率の1.2%を上回った。国内の転職は給与が下がる「キャリアダウン型」が多かったが、22年は1割以上増えた人が過去最高の33%となり10年ほどで10ポイント高まった。賃上げを通じた経済の好循環を生み出すためにも人材の流動性を高めることが欠かせない。

「給料が上がった分、結果を出す必要がある。前の会社のときよりスキルの習得に力を入れている」。IT(情報技術)技術者の吉田崇さん(仮名、28)は昨秋、大手システム開発会社から中堅のシンプレクス・ホールディングスに転職した。年収は15%上がって700万円台になった。

シンプレクスは22年度に約110人を中途採用した。金子英樹社長は「大手企業を離れる人材が増えている。上位10%の優秀な人材を採るにはトップクラスの賃金が必要になる」と語る。転職組を事業拡大の要に位置付け、23年度も中途採用を増やす方針だ。

新型コロナウイルス下で停滞していた転職が再び活発になっている。リクルートの運営する転職支援サービスでは22年の転職者数がコロナ前の19年比で3割増えた。15年と比べると2倍になる。総務省の調査でも22年は月平均303万人と前年比で13万人増えた。転職者は10年代後半に急増し19年に過去最高の353万人に達した。コロナ禍で300万人を割り込んだが経済正常化で再び増加に転じた。

目を引くのが転職で賃金が上がる人の増加だ。リクルートによると1割以上増えた人は22年に過去最高の33%となり、10年比で10ポイント上がった。日本は生え抜きを中枢に配置することが多く、転職組の処遇が低かった。米国や中国では転職者の4~5割で役職が上がるが日本は1割にとどまる。

転職が賃上げに直結し始めた背景には専門人材の争奪戦がある。人材サービスのフロッグ(東京・千代田)が収集した転職求人のデータを分析したところ、人材募集時に提示する平均年収は23年2月に531万円と前年同月より2.9%上がった。21年2月比では6%超の上昇になる。

特に伸び率が高いのが金融や情報だ。21年と比べた23年の伸び率は金融・保険が14%、情報・通信が10%だった。

金融などでは人材確保のため賃金制度を刷新する動きも広がる。SOMPOホールディングスは20年度、処遇を仕事の内容で決める「ジョブ型人事制度」を導入した。従来の賃金は年功色が強かったが、ホールディングスで採用する専門人材は勤続年数に関係なく業務や役割に応じて決まる仕組みにした。

ただ、欧米と比べ日本の転職はなお少ない。経済協力開発機構(OECD)などによると日本の平均勤続年数は約12年で英国や米国の1.4~3倍の長さだ。日本の会社員は終身雇用が標準なうえ、「総合職」が中心で転職市場で評価される専門性に乏しい。

日本の賃金は先進国で最低水準だが、賃金の「天井」と労働市場の硬直性は無縁ではない。主要国の11~21年の実質賃金上昇率を比べると日本は年平均0.17%にとどまる。雇用の流動性が高い米国(1.66%)や英国(0.81%)との差は大きい。

今後は日本も働き手の専門性を高めて雇用を流動化し、持続的な賃金上昇につなげる仕組み作りが必要だ。人材としての市場価値を高められるようにするキャリア自律支援やリスキリング(学び直し)への国の支援も重要になる。

(雇用エディター 松井基一、北爪匡、有年由貴子)

(日本経済新聞)

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