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逆張り投資 成長に期待 バフェット氏、日本株が投資先2位 企業に経営の質問う 2023/04/12

米投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株に強い投資意欲を示した。周囲が投資に尻込みするときでも、長期でみて割安と判断すれば踏み込んだ資金を投じるのが同氏の信条だ。低迷する日本株への「逆張り」投資。海外マネーが日本を見直す契機になる可能性があるが、それには企業自身が事業を成長させ、資本を生かす経営へと高め続けることが条件になる。

「日本が米国以外の最大の投資先だ」。バフェット氏はインタビューで何度も繰り返した。三菱商事や三井物産など商社5社で保有株比率をそれぞれ7.4%に高めた。単純合算で1兆9000億円の日本株を保有する計算になる。名前を明かすことはなかったが、次の投資先として「考えている会社は常に数社ある」という。

なぜ日本株なのか。第1の理由は国際的に投資先を分散したいとの考えだ。同氏が率いる米バークシャー・ハザウェイが保有する上場株の時価は3000億ドル(約40兆円)に上り、そのほとんどが米国株。4割をアップル株1つに依存する。

米国の成長力を信じる同氏とはいえ、集中しすぎるとリスクがある。2月公表の株主への手紙では不測の事態への懸念がにじんだ。米国の財政不均衡を問題視し、金融の混乱や世界不況が起きた場合にも「他にない持続力を維持する」ことを経営課題にあげた。インフレの暴走から、株主の資産をできる限り守ることの重要性にも触れた。

こうした事態も考慮に入れた分散先として商社株が投資のレーダーに入ったといえる。日本への悲観論は聞かれない。インタビューでも「20年後、50年後に日本や米国がいまより大きくなるとの確信がある」とした。

割安でなければ投資しないのがバフェット氏の哲学だ。日本株が割安に映っていることが第2の理由になる。低金利の円建て債で資金を集め、高めの配当利回りを狙う点でも入念だ。

ただし無条件ではない。同氏は常に投資について「株式を選ぶのではない。選ぶのはビジネスだ」とし、この日も対象になるのは「私が理解できる企業だ」と話した。

割安さを象徴する株価指標としてPBR(株価純資産倍率)の低さが指摘される。1倍割れは、事業を解散して得られる価値よりも株価が低いことを示す。日本は上場企業の5割強が1倍割れと、世界でも異例の低い評価に沈む。同氏はそれだけをもって割安だとはしない。「純資産の簿価はさほど重要ではない。企業のすべてをみてどうなるか捉える」

経営の質を重視する。そこへの期待が日本株買いの3番目の理由だ。商社について「経営者が良い判断をし、配当や自社株買いのためにより多くの資金を生み出している事実を非常に高く評価している」とした。

コカ・コーラなど優れた事業と信頼できる経営への長期投資で財を成した同氏。一方でIBMのように手放した例も少なくない。日本株も「経営に問題があると判断すれば買わない」。老練投資家による日本株投資は、経営を支持する味方になると同時に、世界標準で経営を厳しく監督する株主の顔も伴っている。

(編集委員 藤田和明)

(日本経済新聞)

「再び野心を」 92歳の警告 2023/04/12

「世界で最も信用力のある投資家」がバフェット氏の異名だ。危機のたびに企業を救ってきた。

1980年代には経営不振の証券大手ソロモン・ブラザーズに出資、91年の不祥事後には会長まで引き受けた。2008年のリーマン危機では崖っぷちのゴールドマン・サックスに出資した。

インフレ抑制を狙う世界的な金融引き締めで景気が悪化し、同氏は再び輝く。米地銀の連鎖破綻で揺れる米国では、地銀への投資を模索していると取り沙汰される。

それもあくまでもうけ狙い。「他人が怖がっているときは貪欲に」は、同氏の信条だ。一時は世界一の大富豪だった。

貪欲さを投資先にも期待する。愛読するケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」12章は、「企業がアニマルスピリッツを失えば死滅する」と警告する。

その点で見劣りするのが日本企業だ。世界の上場企業の研究開発投資に占める日本企業の比率は06年、21%を占めていた。15年後の21年はわずか10%だ。設備投資の比率も同期間に11%から8%に低下した。これでは世界で戦えない。

バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会は、世界から数万人を集める投資家の祭典だ。21年の総会では、埋没する「日本株式会社」への解といえる場面があった。

同氏は1989年と2021年の世界の時価総額上位20社を比べた。89年に上位を占めた日本企業は去り、米企業は石油や総合電機からGAFAMなどに一変した。「変わらない会社は消える」。冷徹な歴史だった。

バフェット氏は日本が巻き返せると期待する。「米国を買おう。私は買っている」。危機で真っ暗だった08年10月、同氏は米紙に寄稿してアニマルスピリッツを訴えた。「米国」を「日本」に置き換えたのが、11日の日本買いの表明だ。

野心が衰えた日本企業は現金をためた。時価総額に対する手元資金は22年、米欧企業の7%台に対して26%に及ぶ。成長にどう使うのか。「日本の大企業すべてを観察する」。92歳にして血気盛んな投資の神様の一喝が響く。

(本社コメンテーター 梶原誠)

(日本経済新聞)

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