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運用主要5社減益 薄い利幅・海外任せのツケ 前期最終、収益構造の転換急務 2023/07/26

岸田文雄政権が掲げる「貯蓄から投資」を担う国内の運用会社の業績が振るわない。2023年3月期は主要7社のうち5社が最終減益だった。利幅の薄いインデックス型投信と信託報酬の引き下げが足を引っ張り、海外の調査機関に払う費用も重荷になった。新NISA(少額投資非課税制度)を控え、収益構造の転換が急務となっている。

前期は株式市場が軟調で売上高にあたる営業収益が6社で減った。相場の変動に業益を左右されやすい構造が続くなか、かねて指摘されてきた課題が浮き彫りになった。

一つは利幅の薄いインデックス型投信の拡大や信託報酬の引き下げだ。日興リサーチセンターによると、大手7社では22年度の資金流入額のうち約7割をインデックス型が占め、5割未満だった21年度から急上昇した。3月末時点でのインデックス型の残高は16兆5000億円で、全体の約3割を占める規模に拡大した。

インデックス型人気で信託報酬減
 信託報酬の引き下げも続く。投資信託協会によると、公募株式投信の信託報酬は17年末の1.09%から23年6月には0.99%まで下がった。インデックス型では0.46%から0.38%にまで低下している。信託報酬が0.1%を下回る「eMAXISSlim米国株式(S&P500)」が純資産残高ランキングで首位に立つなど、超低コスト商品が人気だ。

このため、上場投資信託(ETF)を除く公募投信の残高は23年3月末で約91兆円と22年3月末の約89兆円から増加したものの、運用会社が受け取る信託報酬額の推計値は8300億円から7960億円に減少した。

もう一つの重荷が海外の運用機関に支払う「委託調査費」だ。前期は7社合計で1032億円だった。前の期から減少したものの依然として高水準となっている。国内運用会社は海外資産の運用の多くを海外の運用機関に委託しており、海外資産ファンドへの資金流入が継続したことで委託調査費が高止まりしている。円安の影響で海外の調査機関に支払うリサーチ費用や情報システム関連費用も増えた。

海外調査費高く「豊作貧乏」も
 三井住友トラスト・アセットマネジメント理事の浜田好浩氏は「24年に新NISAが始まるとインデックス型の人気に拍車がかかる可能性がある」と話す。信託報酬の引き下げ、海外資産ファンドの提供にかかる海外への調査費が重なり、「豊作貧乏」になるとの懸念が強まる。本来なら新NISAで業績拡大期待が高まるはずだが、運用会社の間に楽観的なムードは乏しい。

足元では信託報酬の引き下げ競争が激化し、比較的採算の良いアクティブ型ファンドの強化が喫緊の課題となっている。三井住友DSアセットマネジメントの倉繁亮太経営企画部長は「アクティブ運用に注力する」と話す。4月にグローバル株式グループを拡充し自社運用の海外資産ファンドの強化に取り組む。インフラなどのオルタナティブ(代替)資産の運用にも力を入れていく方針だ。

足元の日経平均株価の上昇が続けば、残高が増え運用会社の収益も膨らむ。ただ相場上昇時は投資家による利益確定売りで資金流出も拡大しやすい。大手投信の運用担当者は「利益確定売りによる流出が続けば業績にも影響が出てくる」と警戒する。若年層の開拓で長期の積み立て投資需要を喚起できるかも課題となっている。

(日高大、森川美咲)

(日本経済新聞)

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