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野村不系・JR東 金融参入 技術革新と規制緩和で壁低く 銀行機能と事業連携 2023/03/24

異業種が金融業に参入する。不動産仲介を手掛ける野村不動産ソリューションズ(東京・新宿)は4月に住信SBIネット銀行と提携して銀行サービスを始める。JR東日本グループも2024年に銀行サービスに参入する。金融技術の進展と規制緩和で事業会社の参入障壁が低くなった。銀行勢も異業種との連携を新たなビジネスチャンスととらえる。

事業会社は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て金融業に参入する。「不動産仲介は1回の取引で終わってしまうことも多い。中長期的に顧客との接点を維持したい」。野村不動産ソリューションズの鎌滝郁雄・新規事業準備室長は参入の狙いをこう説明する。

4月に開始する「ノムコムNEOBANK」はアプリを通じて預金や決済、住宅ローンなどを提供する。住信SBIネット銀がシステム連携を通じて銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を利用する。

将来の資産状況をシミュレーションするサービスもフィンテック企業のMILIZE(東京・港)と共同開発中で、6月ごろの開始を予定している。投資資産の配分を提案する機能も搭載する。住宅ローン取引や金融関連アプリの利用を通して顧客との関係を維持し、不動産の買い替えなど2回目以降の取引につなげていきたい考えだ。

JR東日本グループは24年に開業を予定する「JRE BANK」で、楽天銀行のインフラを活用する。グループ傘下のビューカードが同行の銀行代理業として事業を担う。専用アプリをもうけ、預金や住宅ローンなどの利用に応じたポイント付与も予定する。

NTTドコモは22年12月に三菱UFJ銀行と「dスマートバンク」の提供を始めた。三菱UFJ銀行のBaaS基盤を通じて預金口座サービスを提供する。ドコモの利用料金の支払いや給与受け取りなどで口座を利用すると「dポイント」がたまる。

参入する企業の共通点は個人向けにビジネスを展開し、顧客との中長期的な関係強化を目指している点だ。銀行サービスの収益に期待するというよりは、顧客との接点を増やし、本業やグループ全体との相乗効果を主眼に置く企業が多い。

06年4月の銀行法改正で銀行代理業制度が創設され、銀行子会社が専業で行う場合のみに認められていた銀行代理業務が一般の事業会社に開放された。これまでも2000年代初頭にアイワイバンク銀行(現セブン銀行)やイオン銀行など流通系企業が銀行免許を取得して参入する例はあったが、銀行免許の取得には時間がかかる。

近年は銀行機能を提供するBaaSや組み込み型金融が進展している。銀行がライセンスやシステムをクラウドを通じて提供し、事業会社は銀行サービスに簡単に参入できるようになった。

住信SBIネット銀行は20年以降に日本航空やヤマダホールディングス、高島屋などに銀行機能を提供してきた。提供先は予定を含めてすでに10社を超え、25年3月末までに20社以上に増やす方針だ。円山法昭社長は「最終的に経常利益の50%がBaaS事業になることを見込んでいる」としている。

楽天銀行や三菱UFJ銀行、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行など、BaaS事業の拡大を目指す銀行は増えている。

BaaS市場は海外で先行して拡大している。独ソラリスバンクや英スターリングバンク、米ゴールドマン・サックスなどが展開してきた。英調査会社のジュニパーリサーチは世界のBaaSの市場規模が27年に380億ドルと22年の3倍超に拡大すると予測する。

非金融事業者の参入は増加しているが、どれだけ口座開設につながるかは未知数だ。すでに複数の銀行口座を持っている顧客には保有口座を増やしたくないと考える人もいる。ポイント付与や本業と連携した特典などグループ全体でどれだけサービスの魅力を高められるかが重要となる。

(フィンテックエディター 佐藤史佳)

(日本経済新聞)

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