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銀行機能、異業種に提供へ 三菱UFJFG亀澤社長 「フィンテック提携増やす」 2022/01/13

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長は日本経済新聞とのインタビューで、個人向け金融について「異業種企業に銀行機能を提供し、そこから金融サービスが生まれる」と述べ今後、金融サービスをBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)に切り替える考えを示した。MUFGは2023年度にデジタル関連収益を20年度比で2割弱増やす目標を掲げる。フィンテック企業との提携を増やす考えも明らかにした。

BaaSとは、銀行などが預金や融資といった金融サービス機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で企業のアプリやサービスに提供する仕組み。小売りやIT(情報技術)などの異業種企業は自らのサービスに決済などの金融機能を組み込みやすくなる。調査会社ベリファイド・マーケット・リサーチによれば、BaaS市場は28年に20年比で6倍強の約2.3兆ドル(264兆円)に拡大する見通し。

亀澤氏は金融サービスをBaaSに切り替える考えを示した

亀澤氏は今後の金融サービスについて「我々の金融機能が小口にモジュール(複合部品)になり、外部事業者と組んで価値を生み出せるかが大切だ」と述べた。その一例が21年12月にリクルートと始めた決済サービス「COIN+(コインプラス)」だ。リクルートが提供するキャッシュレス決済サービス「Airペイ」の新ブランドで、顧客からみれば、リクルートのブランドが強くでるが、MUFGが黒子となって決済機能を担う。

異業種と連携したデジタル決済サービスでは決済回数に応じて収益を受け取れるほか、決済データなどを基にした融資などのビジネスにつながる可能性がある。MUFGはネットバンキングなどを含めたデジタル関連収益を23年度に2050億円と20年度比で300億円積み上げる目標を掲げる。

2021年4~9月期の純利益7814億円のうち、傘下の三菱UFJ銀行単体で稼ぐのは4割にとどまる。金利上昇が見込めない国内銀行の収益低下を補うためにデジタルによる収益獲得が急務の課題になっている。

BaaSはこれまで三菱UFJ銀の口座を保有していなかった顧客にアクセスできる利点もある。亀澤氏は「『うちはローンやっています』といって待っていても(顧客は)こない。ものをつくって顧客に届けるまでのどこかの段階に入っていかなければいけない」と述べた。

融資もデジタル化の対象になる。21年にはマネーフォワードと三菱UFJ銀行が共同出資で中小企業向けオンラインファクタリングを手掛ける「ビズフォワード」を立ち上げた。亀澤氏は「お客さんだったにもかかわらず融資まで個別にリーチできなかったのをマネフォの技術を使うことで最短2営業日でお金を提供できるようにした」と指摘。その上で「(決済や融資などで)こうしたテック企業との組み合わせが増えていくことになる」と語った。

海外からも技術革新(イノベーション)の取り込みを進める。16年には大手暗号資産(仮想通貨)交換所の米コインベース・グローバル、19年にはシンガポールの配車アプリ大手グラブ・ホールディングスに出資した。21年に米地銀MUFGユニオンバンクの個人・中小企業部門をUSバンコープに売却して得た8800億円をどこに振り向けるのかに市場の注目が集まっている。亀澤氏は「余った資本は市場が成長するアジアやデジタルに向けたい」と述べた。

新型コロナウイルス禍は個人の行動を抜本的に変えた。支店を訪れる個人が激減したことが典型例だ。亀澤氏は銀行支店について「今の形のままでは残らない」と述べ、資産運用の相談などの機能に特化した店舗を増やす方針を示した。三菱UFJ銀行では、24年春までに国内の店舗網を縮小した上で、5割にあたる約160店を、大幅に業務を絞った店舗や軽量店舗とし、一部を相談業務に特化した店舗形態に改める計画だ。

(須賀恭平)

(日本経済新聞)

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