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Financial & M&A Industry Updates
金融庁は銀行グループによる事業会社への出資規制を緩和する。現在は投資専門子会社を通じて設立10年未満の企業に限り5%超の出資を認めているが、10年以上の企業にも5%を超えて出資できるようにする。銀行が新興企業にリスクマネーを供給しやすくし、創薬など研究開発に時間がかかる新興企業のニーズに対応できるようにする。
一般から意見公募したうえで2024年6月までに銀行の議決権保有規制(総合2面きょうのことば)に関する銀行法の施行規則を改正する見通し。スタートアップ育成は岸田文雄政権が掲げる主要政策の一つ。
財務の健全性維持や産業支配の集中を防ぐため、銀行には事業会社の株式を議決権の5%を超えて原則保有できないルールが課されている。ただし、スタートアップに対しては独立性のある投資専門子会社を通じてであれば最大100%まで保有できる特例がある。
現在の特例は「設立10年未満」に限定しているが、10年以上の非上場の中小企業にも対象を広げる方向で検討している。15年や20年といった新たな年数の上限は業界ニーズも踏まえて判断する。
制約を緩めるのは研究開発型のスタートアップは事業化まで時間がかかり、投資から回収にいたるまでの期間が長期に及ぶ傾向があるためだ。
とくに開発期間の長い創薬分野では薬事承認されないと売り上げが立たないなど事業化の難易度も高い。研究から開発に移る段階と開発から事業化に至る段階でそれぞれ資本調達ニーズはあるが、設立10年以上では銀行グループから5%を超えて出資を受けられない。
経済産業省の調査によると、研究開発型スタートアップの6割以上は新規株式公開(IPO)まで10年以上かかった。スタートアップの間では「現状では資本の出し手と期間の目線が合わない」との声も出ている。
新興企業へのリスクマネーの供給は本来、ベンチャーキャピタル(VC)やファンドなどの役割だ。日本ベンチャーキャピタル協会によるとスタートアップの調達資金は22年に約9000億円。VC経由は約3700億円と4割を占めるが、出資額は米国の100分の1程度にとどまる。
銀行など金融機関による出資は22年に300億円強だった。今回の規制緩和によりスタートアップの資金ニーズをつかめば数百億円規模で増える可能性がある。
日本はVCが十分育っておらず、スタートアップに資金が行き渡りにくいのが実態だ。預金を扱う銀行による出資には様々な制約がある。過渡期の措置として銀行への規制を緩め、スタートアップの成長を後押しする。
(日経新聞)