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高インフレで市場急変 上半期円22円下落、米株20%安 2022/07/01

2022年1~6月の金融市場は歴史的な急変動となった。円相場は対ドルで22円円安と40年ぶりの下落幅となり、米国株は20%安(29日時点)と52年ぶりの下げ相場となった。米欧で1970~80年代以来の高インフレとなり、低インフレ・低金利の環境に慣れきった投資マネーにショックをもたらしている。経済構造の長期的な転換点との見方も広がっている。

震源は商品市況だ。国際商品の総合的な値動きを示すリフィニティブ・コアコモディティーCRB指数は1~6月に29%上昇した。遡れる94年以降では2008年上半期と並ぶ最大級の上昇となっている。新型コロナウイルス禍からの経済回復で需要が急増したところに、ウクライナ危機による供給制約が追い打ちをかけた。

エネルギー高は米英に40年ぶり、ドイツに50年ぶりの物価上昇率をもたらした。各国の中央銀行は大規模緩和から金融引き締めへの急転換を迫られている。米連邦準備理事会(FRB)による1.5%の利上げ幅は上半期では84年以来だ。

金融政策の方向性が異なる日米の10年国債利回り差は、21年末の1.4%前後から2.9%前後に広がった。拡大幅は上半期では35年ぶり。金利差拡大を背景に円相場は29日、24年ぶりに一時1ドル=137円台まで下落し、上半期の下落幅はプラザ合意でドル高が是正される前の82年以来の大きさとなった。

米国など世界の金利は1980年代前半をピークに下がり続けてきた。貯蓄拡大とデジタル化に伴う投資の伸び悩みはカネ余りを生み金利を抑えた。冷戦後のグローバル化などで物価も上がりにくくなった。ところが、「新冷戦」となり、コストより安全保障が優先されるケースも出てきた。「脱炭素」はエネルギー価格を押し上げている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は29日、「低インフレ環境に戻るとは思わない」と語った。

投資家は「供給制約がうまれ、景気を刺激するとインフレ圧力が高まってしまう」(クレディ・スイス証券の松本聡一郎・日本最高投資責任者)と、経済構造の転換を意識して資金を動かすようになっている。

低金利下では「債券バブル」と呼ばれるほど国や企業の発行が増え、投資家も買った。今年は一転、金利が急上昇し、国債や社債など幅広い債券を含むブルームバーグ債券指数は11%下落した。上半期としては90年以降最大の下げだ。

緩和マネーは株式からも流出が顕著だ。米S&P500種株価指数は20%下落。ハイテク株の多いナスダック総合株価指数は29%安と上半期で過去最大の下げとなった。日経平均株価は8%安と底堅いが、ドル建てでは23%安となっている。

高インフレを予想したローレンス・サマーズ元米財務長官は米紙に「60対40の確率で『長期停滞』に近い状態に戻る」と述べており、低インフレ・低金利の時代が終わるのかまだ断定はできない。

ただ、低金利を前提とした企業経営は苦しくなっている。米化粧品レブロンなど重債務企業の経営破綻の例は、金利上昇下で増えそうな情勢だ。

(蛭田和也、五味梨緒奈、川路洋助、犬嶋瑛)

(日本経済新聞)

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