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高度AI「各国で技術革新」 マイクロソフトのスミス社長 サービス開発、新興にも商機 2023/04/22

洗練された文章や画像を生成する高度な人工知能(AI)は市場の拡大が見込まれ、2027年には世界で約16兆円に達するとの予測がある。マイクロソフトのほかグーグル、アマゾン・ドット・コム、メタなど米テクノロジー大手が研究開発に力を注ぐ。

一握りの企業が市場で支配力を強める恐れがあるとの見方について、都内でインタビューに応じたブラッド・スミス社長は「各国でイノベーションが起こる」と否定。恩恵を受ける企業は多いとの見方を示した。「AIのエコシステム(生態系)はウィナー・テーク・オール(勝者総どり)にはならない」と明言した。

高度なAIの開発では米国勢だけでなく「中国の北京智源人工智能研究院(BAAI)や百度(バイドゥ)、アリババ集団がいることを頭に入れておくべきだ」と述べた。中国勢に加え欧州やイスラエル企業も台頭していると訴えた。AIを使ったサービスの開発ではスタートアップ企業にも商機があるとし、日本では「5社のスタートアップの人に会った」と話した。

マイクロソフトは19年にオープンAIに10億ドルを投資し、23年1月には数十億ドル規模の追加投資を発表した。同社を資金、技術の両面から支えてきた。AI戦略の要に位置づけ、自社の検索サービスや業務ソフトに、言語AIの「Chat(チャット)GPT」などの機能を搭載している。

スミス氏は「彼らがつくった最先端のAIは(マイクロソフトの)データセンターで学習した」と協業の成果を強調。「より多くの人が新技術を使えるようにすることが両社のミッションだ」と語った。一方でオープンAIを買収する可能性については「現在の提携はうまく機能しており、両社とも興味はない」と否定した。

マイクロソフトの歴史を振り返れば、各国の規制当局との緊張関係を抜きには語れない。90年代末にはパソコン用基本ソフト(OS)の「ウィンドウズ」をめぐり、米司法省が独禁法違反で同社を提訴。訴訟は長期化し、一時は「会社分割」の命令も出された。欧州委員会との争いもあった。

その後は政府やライバル企業との対話を重視する経営に舵を切り、攻めの姿勢が目立つ他のテック大手と一線を画してきた。ただ、22年1月に発表したゲーム大手の米アクティビジョン・ブリザードの巨額買収に対しては米連邦取引委員会(FTC)が買収阻止を求めて提訴するなど、マイクロソフトの影響力の高まりを警戒するムードも漂う。アクティビジョン買収の実現についてスミス氏は「未来は見通せないが、楽観視している」と述べ、「より多くの人々にゲームを届けられる買収であり、競争を促す」と自信を示した。日本の公正取引委員会は3月に買収を承認している。

イタリアでチャットGPTが利用禁止になるなど、生成AIに対する逆風も吹く。17日の米議会公聴会では、FTCのリナ・カーン委員長が「AIはあらゆる機会と同時に、あらゆるリスクも提供する」と述べ、AIサービスも調査対象となりうることを強調した。

生成AIを使えば詐欺メールなどを巧妙につくれ、サイバー攻撃などへの悪用が懸念される。スミス氏は「AIは人間よりも早く新たな攻撃手法を発見できる」と指摘。影響工作による偽情報の拡散も検知可能だとして、AIを駆使して攻撃に対抗する意向を示した。

マイクロソフトは「エクセル」や「ワード」などに使えるAIを副操縦士を意味する「コパイロット」と名付けている。AIはあくまでも人間の補助で、現時点では最終判断は人間の役割だと位置づける。ただ、将来、自動運転車のようにAIが自律的に判断する状況となれば「非常に慎重になるべきだ。規制が必要になる」と話した。

(本社コメンテーター 村山恵一、大越優樹)

(日本経済新聞)

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