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DX人材、オンライン研修 住友商事など300社が導入 2021/04/07

デジタルトランスフォーメーション(DX)の担い手を育てるオンライン研修サービスが活況だ。プログラミングなどを学べる米国発の「ユーデミー」は上陸2年足らずで住友商事など国内300社が採用。脱落させない仕組みが売りの「テックアカデミー」など日本発のサービスも伸びる。DX推進には一般社員の学び直しが欠かせない。
住友商事のデジタル事業本部でDX推進を担当する細井岳さん(31)。データ分析などデジタル技術を駆使し、グループ各社の戦略立案や新事業の立ち上げを先導する。ただし細井さん、以前は金属製品の取引の担当で、必ずしもデジタルの専門人材ではなかった。
キャリアチェンジを助けたのが、米新興ユーデミーのオンライン研修サービスだ。大学講師やエンジニアが15万件超の講座を公開する教育プラットフォームで、世界4000万人が学ぶ。住商は2020年7月に法人契約し、DX担当の社員らが5500講座を受けられるようにした。
以前から独学では取り組んでいたが、ユーデミーは「業務で必要になったとき、すぐ最先端の講座を受けられる」と細井さん。不明点を講師に直接質問できるのも魅力だった。業務後の空き時間を活用して「Webエンジニア講座」「パフォーマンス改善のためのGoogleアナリティクス活用法」など約30コースを受講した。受講料は住商が全額負担した。
学習の結果、会議時間が3分の1に
効果は出ている。ゼロからのシステム開発は専門人材に頼るが「直面する課題に対し、どんな技術が有効かの勘所が分かる」。システム会社など外部との打ち合わせに要する時間も以前の3分の1まで減ったという。
法人向けのオンライン研修が伸びている。背景にあるのがDXをめぐる企業の悩みの変化だ。電通デジタルが20年9月、国内企業に勤める3200人にDX推進の障壁を尋ねたところ、最も多かった回答は「スキルや人材の不足」。18~19年の調査で最多だった「投資コスト」を上回った。
ユーデミーが国内で法人向けサービスを始めたのは19年6月。導入は直近1年で3倍となり、累計300社を超えた。
NTTデータやソニーグループが高額報酬を提示するなど、デジタル人材の争奪戦が激しくなっている。求めるのは高度なITスキルを備えたエンジニアに限らない。NRIデジタル(横浜市)の雨宮正和社長は「全社の業務を見渡して改革案をつくり、システムの全体構想を理解できる人材が必要だ」と強調する。
DXの本質は、デジタル技術を使った業務効率化にとどまらず、事業モデルを抜本的に変革すること。成否の鍵を握るのは、事業運営に携わった経験を持つ一般社員の学び直しだ。コンテンツが豊富で、それぞれの社員が自分のペースで受けやすいオンライン研修が伸びる理由はここにある。

怠けないようにチーム学習を推奨
多くの社員にとって、プログラミングや数学はなじみの薄い領域だ。初心者でも「挫折させない」ことを重視するサービスも相次いでいる。

キラメックス(東京・渋谷)の「テックアカデミー」は、受講生一人ひとりに専属の指導教員をつける。疑問点を直接質問できるほか、週2回を目安にビデオ会議システムで相談する。「次回の面談までにこの章は終わらせましょう」などと決め、脱落を防ぐ。
教員を務めるのはIT業界で活躍する現役エンジニアだ。三菱UFJ銀行が福利厚生の一環で法人版を導入するなど、大手企業の採用が増えている。20年の申込数は前年の2倍に伸びた。
キカガク(東京・千代田)は「チーム学習」を推奨する。不明点はまず、教員ではなく他の受講生にアドバイスを求める。同僚らと同時進行で進めるので怠けづらい。分かりやすく同僚に説明することで、学んだばかりの知識を整理する効果を見込む。20年の法人向け研修の売上高は前年の3.5倍になった。
外部研修を導入するからこそのメリットもある。アイデミー(東京・千代田)は企業側の研修担当者が、社員のログイン頻度やテスト結果を一覧表示し、業界の平均値などと比べられるようにしている。石川聡彦社長は「自社社員のスキルが客観的な数値として見えるようになるので、経営陣に意識改革を促す材料にできる」と話す。
米国は再教育への投資を惜しまず
日本企業の多くは「OJT」(職場内訓練)を人材育成の軸としてきた。厚生労働省の調べによると、通常業務を離れての「オフJT」(職場外訓練)に投じる費用は19年度に従業員1人あたり1万9000円にとどまる。OJTは従来業務の着実な遂行には効果があるが、業務そのものの変革には向かない。
米国では一般社員の再教育に投資を惜しまない企業が目立つ。米アマゾン・ドット・コムは25年までの6年間で7億ドル(約760億円)を投じ、米国の物流センターなどで働く一般社員10万人向けに機械学習などの講座を提供する。米グーグルもAIなどを学べる一般向けオンライン研修プログラムを公開している。
社員にとっても、研修機会の拡充は朗報だ。内閣府が20年2~3月に実施した調査では、「オフJT」のリカレント教育(学び直し)を受けた人のうち収入が1割以上増えた人の割合は、受けなかった人を13.1ポイント上回った。
在宅勤務の広がりも、オンライン研修の普及の追い風になっている。デジタル人材の育成に活用する企業がますます増えそうだ。(藤村広平)

(日本経済新聞)

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