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広がる電子決済、フィンテック急伸 ストライプ企業価値10兆円 カネ余り、統治ゆがみも  2021/4/21

ストライプの企業価値は10兆円を超える=ロイター
世界のフィンテック企業の成長が加速している。ストライプの企業価値は10兆円を超え、世界のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)上位20社のうち8社をフィンテックが占める。使い勝手のよいソフトウエアを武器に決済や投資分野で利用が急増し、既存の金融大手の脅威になる構図だ。ただカネ余りで実力以上に肥大化し、企業統治のゆるみで破綻する事例も出始めている。
米調査会社ケネス・リサーチによると、世界のフィンテック市場は年率2割超で成長し、2023年までに3050億ドル(約33兆円)規模に拡大する見通しだ。このうち決済サービスは全体の7割近くを占める。

中央銀行界の理論派として知られるイングランド銀行のカーニー前総裁が2月、米西海岸に本社を構えるストライプを新天地に選んだ。取締役に加わったカーニー氏は「デジタル経済を切り開く最先端にいる」と意義を語る。デジタル合成通貨の推進者として知られるが、ストライプを軸にグローバルな経済のデジタル化を後押しする。
2010年に創業したストライプは、3月時点の想定時価総額が950億ドル(約10兆3000億円)とわずか1年で2.6倍に拡大した。非上場で最大のフィンテック企業で、その価値は国内金融最大手三菱UFJフィナンシャル・グループの時価総額(約8兆円)を上回る。
急成長の背景には新型コロナウイルスの感染拡大がある。ストライプは決済を支える黒子として、経済活動のデジタル化から最大限の恩恵を受ける。グーグル、アマゾン、フェイスブックなど米国のIT(情報技術)大手がこぞって採用する。
財務情報は非公開だが、欧米メディアによると20年第3四半期の総売上高は約20億ドル(約2200億円)で、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は1億2000万ドル(約130億円)以上にのぼる。
最大の強みは顧客企業の導入のしやすさにある。フィンテックのWED(ウェッド、東京・渋谷)が21年3月に開始した寄付アプリはストライプとの接続部分の開発に3日しかかからなかった。導入コストが安いうえに、ストライプ自身がクレジットカード会社などと提携しているため加盟店が自ら契約する手間も省ける。
ストライプは「インターネットの国内総生産(GDP)を拡大する」を社是に掲げる。すでに世界40カ国以上で事業を展開しており、今年は欧州市場に積極投資する。中長期では人口の多いインドネシアなど新興国でのサービスを強化していく戦略とみられる。
新型コロナの影響でオンライン決済は全体に伸びが著しい。米ペイパル・ホールディングスは20年10~12月期の新規アクティブ利用者数が1600万人と前年同期比7割強増えた。同期間の営業利益は21%増の9億6300万ドルとなった。

決済に続く成長分野がデジタル銀行だ。スマホ一つで口座を開設し、余計な手数料も取られない。13年設立のブラジルのヌーバンクはスマホ向けアプリを通じて、銀行口座やクレジットカードのない中低所得者層を取り込む。同国の銀行口座の保有率は17年時点で7割にとどまる。それだけ口座開設の余地は大きく、19年に1200万人だったヌーバンクの利用者は直近で3400万人まで増えた。誰でも金融サービスにアクセスできる「金融包摂」をデジタル銀行が実現する構図だ。
有望なフィンテックは少なくないが、その膨張をカネ余りが演出している点には注意が必要だ。厳しい選別を経ない調達環境は、企業統治をゆがませるリスクをはらむ。
独決済大手ワイヤーカードは不正会計で20年6月に債務超過となり経営破綻した。企業間取引の請求書の流動化を手掛ける英グリーンシル・キャピタルは21年3月に破綻した。ワイヤーカードは海外の売り上げを水増ししていたが、監査法人の調査不足で見抜けなかった。グリーンシルのリスク評価技術は初期レベルで、およそ洗練されたものとはいえなかった。
長い目で本当に顧客が必要とする金融サービスなのかどうか。過熱する投資競争が本来の実力を覆い隠している可能性もあり、投資家や利用者にはフィンテック企業を冷静に見極める選別眼が求められる。
(フィンテックエディター 関口慶太、駿河翼)

(日本経済新聞)

ストライプの巨額評価には理由がある 2021年3月17日

Financial Times
米オンライン決済企業ストライプの想定時価総額は950億ドル(約10兆円)と莫大だ。フィンテックバブル崩壊の兆しとみる向きもあるかもしれないが、それは間違いだ。
サンフランシスコに本社があるストライプの評価額が1年で600億ドルも膨らんだことは驚異的だ。ストライプは未公開であるため、その財務状況はほとんど知られていない。
だが同社の製品は広く利用され、高い評価を受けている。そのうえ世界で行われている決済のうち、オンライン取引は20%に届かない。今後、売上高が大幅に増える可能性は大いにある。
アイルランド人のパトリックとジョンのコリソン兄弟が2010年にストライプを創業した当時、多くの疑問があった。厳しい規制や米決済大手ペイパルなど強力な既存企業が参入障壁になっていた。
コリソン兄弟が成功を収め、おそらく巨万の富を手にすることになったのは、製品がシンプルだったからだ。顧客はソフトウエアをプラグインするだけで、すぐに決済ができる。ソフトウエア開発者に販売することで、ストライプは米料理宅配大手ドアダッシュや米配車サービス大手リフトなどの新興企業に忠実な支持者を増やし、こうした企業とともに成長してきた。
フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材先によると、ストライプは欧州のライバル企業であるアディエン(オランダ)よりも多くの決済処理を行っており、これは20年の年間総取引額が3000億ドルを超えたことを示す。米国の手数料は、オンラインカード決済の場合、2.7~2.9%プラス1件あたり30セントだ。他の地域の手数料はもっと低い。これは20年の売上高が90億ドルを超えたことを示唆する。またストライプの評価額が実績売上高の約11倍と、ペイパル、米スクエア、アディエンなどのフィンテック企業の倍率より低いことを意味する可能性がある。
決済企業の評価が高いのは、高い成長が見込まれるからだ。多くの人は依然として銀行口座を持たず、電子商取引は盛んだ。投資家は熱意にあふれ、1%未満の株式に6億ドルを投じるほどだ。このことはまた、ストライプの評価額950億ドルが、上場企業と比較して漠然としたイメージに基づいていることを示す。
ストライプは人口の多いインドネシアなど初めての国や新製品に注力すると予想される。それには2つの短期的なリスクが伴う。同社は3年前にビットコインの決済処理を停止したが、この立場を見直せば不安定な価格の影響を受ける可能性がある。また規模の拡大や、ストライプのインフラにリンクした提携銀行の口座などの新製品を反映して、規制当局から厳しく精査される公算も大きい。
正当性を立証する手段もある。イングランド銀行のカーニー前総裁の取締役就任や、アイルランド国債管理庁による出資などだ。ストライプはあらゆる適切な場所に友人を作っている。
(2021年3月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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