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「億ゲー」10作突破 ゲームのプレー人口、大国に匹敵 2021/06/14

心理ゲームの「アマングアス」は世界に5億人のユーザーがいる
オンラインゲームが生み出すコミュニティーが巨大化している。利用者が1億人を超えるゲームは世界で10作以上となった。仮想空間で広がっているのがゲーム内でユーザーが分身として動かす「アバター」を巡る商取引だ。高級ブランドや映画会社が商品や広告を提供。大国の人口に匹敵する集客力を持つ「億ゲー」空間に、新たな消費市場が育ちつつある。
米国時間12日にオンラインで開幕した世界最大級のゲーム見本市「E3」。米マイクロソフトは同13日、他社のゲーム専用機などが扱ってきた「アマングアス」を自社の「Xbox」で配信すると発表した。宇宙船を舞台に他プレーヤーの思惑を探り合う同ゲームは、米調査会社によると5億人近くが利用する。

仮想空間で建築などを楽しむ「マインクラフト」や、武器を持ち5対5で戦う「リーグ・オブ・レジェンド」は長期間にわたって億単位のプレーヤーを保持。日本や米国の人口を超える人々が世界中から集まっている。
仮想のグッチ、45万円
4115ドル(約45万円)で売れた。現実よりも高い――。5月、伊高級ブランドのグッチが人気ゲーム「ロブロックス」で発売したアバター向けバッグが話題をさらった。バッグはゲーム内通貨で5ドル相当の価格だったがすぐ売り切れ、プレーヤー同士がアイテムをやり取りする市場で想定を超える高値で取引された。ゲーム内で交流する際に自分の個性を主張したいプレーヤーは多く、限定品など希少品などに価値が生まれる。
ゲームコミュニティーの仮想市場としての可能性を知らしめたのは、米エピックゲームズの「フォートナイト」だ。

20年4月、人気ラッパーのトラヴィス・スコットさんが開いたアバターによる10分程度のライブに1230万人が集まった。新型コロナウイルス禍で実際のライブ活動が制限されるなか、上演曲はヒットし関連グッズも売れた。ゲーム内で映画会社や音楽会社が販促するのは当たり前となりつつあり、米ワーナー・ブラザーズはロブロックス内で新作映画を広告する。
総務省によると、世界のネット利用者数は10年の約20億人から19年には40億人に倍増した。10年前はユーザー数が1億を超えるサービスはフェイスブックなど一部のSNS(交流サイト)に限られたが、裾野が広がりゲームでも1億人のユーザーを獲得できるようになった。オランダの調査会社ニューズーによると、世界のゲーム人口は30億人に近づく。
マップの広さ「地球超え」
ゲーム技術の進化も背景にある。CPU(中央演算処理装置)の飛躍的な能力向上で、膨大な数のプレーヤーが一堂に会する広大なゲーム空間をつくることが可能となった。プレーヤーが動き回れるマップの広さが地球の面積を超える作品もある。
「消費市場化」を支える技術の導入も進む。マイクロソフトは20年2月、デジタル資産の複製を困難にする「非代替性トークン(NFT)」をマインクラフトに持ち込めるサービスを期間限定で試した。アバターやそのアイテムを複製不可な「世界で唯一のもの」と証明でき、希少価値が生まれる。
エピックはフォートナイト内で映画「マーベル」シリーズのキャラクター関連のアイテムなどを販売、売上高の一部を版元に還元する。ロブロックスでは利用者が3割の手数料を支払えば、アイテムをゲーム内で販売できる。ニューズーによると、世界のゲーム市場は20年に1778億ドル(約19兆円)だが、市場化でさらに成長は加速しそうだ。

プレーヤーの滞在時間も長い。フォートナイトのプレーヤー全体の月間平均視聴時間は30億時間に上る。運営するエピックのティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は「単なるゲームを超越している」と強調する。ゲーム内のプレーヤー同士の交流は深まり、結婚式を挙げるなどの事例も出てきた。
ただ、コミュニティーの価値が高まるほど、予想外の使われ方への対処も必要になる。任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」では、20年の米大統領選挙で民主党のバイデン陣営がコミュニティー内に選挙本部を置くなど政治活動を繰り広げ、任天堂はゲーム内での政治的な主張をあらためて禁じた。
ソフトメーカーの力強まる 
従来、ゲーム業界では専用機メーカーが優位だった。ソフト開発会社はソニーグループの「プレイステーション」、マイクロソフト「Xbox」など専用機向けにソフトを開発し、手数料を支払ってきた。
だが、集客力に優れた人気ゲームはもはやハードに縛られない。すべての専用機で発売し、パソコン向けも用意するのが一般的になってきている。「開発費を一部負担するので、1年間はうちのゲーム機だけで販売してほしい」。あるソフト開発会社幹部はハード会社からこんな提案を受けることが増えたと明かす。
ソフトパワーの高まりを象徴するのが、エピックが巨大プラットフォーマーである米アップルと真正面から争う「フォートナイト訴訟」だ。エピックは、アプリ内の決済でアップルが反競争的な行為をしていると訴えた。
ソニーの吉田憲一郎会長兼社長は20年10月に開いた社内向け説明会で「成長戦略のキーワードはコミュニティーだ」と宣言した。同社は21年4月にエピックに2回目の出資をした。ソフトの集客力は無視できないものになっている。
(藤生貴子、新田祐司)

(日本経済新聞)

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