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ネット通販 特化型で風穴 テンシャル、ヘルスケアで新設  巨大サイトに対抗 出店支援に厚み 2021/09/05

スタートアップが特定分野の商品を専門的に扱うインターネット通販に力を入れ始めた。靴の中敷きなどを手掛けるテンシャル(東京・渋谷)はヘルスケア分野に特化した通販モールを立ち上げる。アマゾンや楽天市場といった巨大な総合モールの利用が広く定着するなか、細分化する消費者の需要を捉える。出店企業に対する支援にも厚みを持たせ、商機を見いだそうとしている。

テンシャルは12月をメドに通販モールを立ち上げる。地方企業を中心に100社前後が出店し、サプリやマッサージ機などを取り扱う。消費者向けの検索機能を充実させ、具体的な使用場面に応じて適した商品を選べるようにする計画だ。

テンシャルは中敷きなど自社製品のオンライン販売を手掛けており、蓄積したノウハウを生かし、出店企業に対してページ作成を代行するサービスも提供する。中西裕太郎最高経営責任者(CEO)は「どう売ればよいか悩む企業を支援したい」と力を込める。

このほどマネーフォワード傘下のベンチャーキャピタル(VC)などを引受先とする第三者割当増資で5億円を調達した。資金はサイト開発や広告宣伝などに充てる。

野村総合研究所の2020年の推計によると、電子商取引(EC)の国内市場規模は26年に29兆4000億円と、18年の1.6倍に膨らむ見通しだ。アマゾンなどが急速に普及する半面、出店側は巨大モールに埋没する危機感が拭えず、消費者はより多様な商品を求めるようになっている。

その中でスタートアップは扱う分野を特化することで出店側を支援し、消費者の細かい需要をくみ取っている。テンシャルのように特定領域を扱う方式は「バーティカルコマース」と呼ぶ。

1年で会員2倍
VCのZベンチャーキャピタルの大久保洸平インベストメントマネジャーは「次世代型サイトのなかでも有望だ」とみる。衣料品を扱うZOZOや高級ブランドに特化した英ファーフェッチなど上場企業も相次いで誕生している。

Cake.jp(ケーキジェーピー、東京・新宿)はスイーツ専門の通販モールを運営する。巣ごもり消費を取り込み、足元の会員は約100万人とこの1年間で2倍に増えた。

配送したケーキが形崩れした場合、一部地域では当日に代替品を届けるなど、細やかなサービスが受けている。小規模な事業者でも出店しやすいように、一部商品の製造をケーキジェーピーの工場で受託するサービスも提供している。

グラシア(東京・品川)は雑貨やベビー用品といった贈り物を専門とする「TANP(タンプ)」を運営、セット販売で独自性を出している。グラシアが出店各社に許可を取り、異なるメーカーの商品を組み合わせたギフトセットを提案している。自社倉庫を東京都内に持ち、在庫管理や出荷作業も担う。

斎藤拓泰CEOは「配送のスピード競争は一服した。今後は顧客のギフト需要にどう応えるかに注力する」と話す。5月には定額課金サービスで、利用者自身へのプレゼントとして、グラシアのバイヤーが選んだギフトセットを贈るサービスも始めた。

品ぞろえがカギ
国内を見渡すと、アマゾンジャパン(東京・目黒)と楽天グループ、Zホールディングス傘下のヤフーの存在感が際立つ。コンサルティング会社のエンパワーショップ(東京・渋谷)によると、国内の18の主要通販サイトで20年の流通総額をみると、この3社の主力運営サイトで75%を占めた(一部推計値)。

その中で政府は2月、手数料や出店条件を変更する際の取引先への事前通知などを義務付けるデジタルプラットフォーム取引透明化法を施行。物販総合モールの規制対象にこの3社を指定した。

条件の透明化で出店側は自社に適したサイトを選びやすくなる。大和総研の五十嵐陽一シニアコンサルタントは「規制強化で寡占の流れは解消していく」と予測。その上でバーティカルコマースは「ECで売るノウハウを持たない企業を呼び込み、品ぞろえを手厚くすることが成長のカギになる」と指摘している。
(細田琢朗)

(日本経済新聞)

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