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米中テック企業、ビデオ会議攻防  フェイスブック、50人で時間無制限/アリババ、AIが14言語翻訳 2020/05/28

新型コロナウイルスの感染拡大で外出規制や在宅勤務が広がる中、自宅などで使うビデオ会議システムを巡り、米中のテック企業による争奪戦が激しくなってきた。米フェイスブックがこのほど世界で提供を始め、中国のアリババ集団などは独自の機能を搭載したサービスを売り込む。競争の裏にはクラウドなどの周辺ビジネスの囲い込みにつなげたいという各社の思惑もある。
フェイスブックはビデオ会議システム「メッセンジャールーム」の提供を14日に世界で始めた。最大50人が参加でき、無料ながら時間制限を設けていないのが特徴だ。米グーグルも最大100人が参加できるビデオ会議システム「Meet(ミート)」について、企業や教育機関向けだったものを一般利用者に無償開放した。
両社のサービス投入の背景にあるのは2011年設立の米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの躍進だ。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」は19年12月に1千万人だった利用者が20年4月には30倍の3億人に増えた。オンライン飲み会などの一般消費者の利用も広がった。
無料でソフトを提供して利用者を増やし、一部に課金する「フリーミアム」モデルが成功。無料の場合3人以上だと連続40分までしか使えず、有料プランを選ぶ企業や教育機関も多い。最も機能が充実したプランは会議の主催者1人当たり月2700円を課金する。ただ、急拡大で悪意のあるハッカーの妨害なども多発した。データの暗号化技術を持つキーベースの買収などで改善を急ぐ。
同じビデオ会議でも3社の狙いは異なる。新興として本業で稼ぐ目的のズームに対し、フェイスブックは収益の大半を生み出す広告収入の確保を狙う。一般消費者に使いやすくし自社サービスの利用時間を増やす戦略だ。グーグルは共有ファイルの管理などの有料クラウドサービスの利用につなげたいようだ。
周辺サービスとの連携で先行したのは米マイクロソフトだ。ビデオ会議システムとしても使える職場向け協業アプリ「チームズ」は、全世界の1日当たりの利用者数が7500万人に達したと4月下旬に発表された。5カ月前の約4倍だ。
マイクロソフト365の利用者がワープロや表計算などの業務文書ファイルを同僚と共同で編集する合間に、ビデオ会議に切り替えて意図を確認するといった作業が円滑に進められる。
アプリ分析を手がける米アップアニーによると、20年1~3月にダウンロードされたビジネスアプリの首位はズームだったが、トップ10には中国のアリババグループが提供するビデオ会議システム「釘釘(ディントーク)」も入った。特に地元の中国市場ではアリババやIT(情報技術)サービス大手、騰訊控股(テンセント)のビデオ会議アプリが優勢だ。

アリババのビデオ会議は中国で1千万社以上が導入し約2億人が使う。3月にはビデオ会議に同時に参加できる人数を302人と約3倍に増やした。中国企業は14億人の国内市場で培ったノウハウを生かし、日本などを攻め、米国勢を追う。

3月下旬にインターネット広告大手のオプトホールディング本社で使われたビデオ会議サービスは、アリババのディントークだった。新型コロナで対面の商談ができなくなった代わりだ。国内で徐々に浸透している。
アリババが日本で狙うのは中国でビジネスを展開する企業だ。チャット機能に人工知能(AI)で14言語を翻訳する機能を搭載。例えば日本の担当者が中国企業とやり取りする際に、中国語で送られてきたメッセージをクリックするだけで即座に日本語に変換できる。
米調査会社のトランスペアレンシー・マーケット・リサーチによると、19年に60億ドル(約6400億円)だったビデオ会議関連の世界の市場規模は30年までに2.6倍の160億ドルまで伸びる見通しだ。米ツイッターなど、コロナ後も在宅勤務を認める企業が出てきており、働き方が変わればビデオ会議が次のプラットフォームの覇権争いにつながる可能性もある。
(清水孝輔)

(日本経済新聞)

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