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創業期投資、5年で4倍 平均規模 進む大型化  サイバーエージェント・キャピタル、60億円規模 2021/04/19

創業期のスタートアップに投資するファンドが大型化している。1ファンドあたりの平均規模は2020年に50億円と5年前の4倍に増加。3月にはサイバーエージェント・キャピタル(東京・渋谷)が60億円規模のファンドを新設した。ベンチャーキャピタル(VC)は投資に加えて事業活動を支援するサービスも整えつつ、スタートアップを後押しする構えだ。
前ファンドから10億円増額
サイバーエージェント・キャピタルが3月に立ち上げた3号ファンドは2号ファンドを10億円上回る規模だ。「シード期」と呼ぶ創業直後の企業が対象で、金額を増やしたことで投資先のスタートアップに追加出資する「フォローオン」を実行しやすくなった。企業と伴走する姿勢をアピールでき、他の投資家を呼び込みやすくなる。
情報サービス会社のイニシャル(東京・港)の調査によると、シード期とそれに続くアーリー期を対象とするファンドの総額は20年に1180億円と15年の4倍近くに膨らんだ。1ファンドあたりの平均規模は50億円と4倍超に増え、ファンド全体の増加率(4割増)を上回った。

日本のVCファンドは大企業が主な資金の出し手だ。有望なスタートアップを早期に見つけ出したいというニーズは高く、創業期ファンドの大型化につながっている。
大企業以外の投資家を集めて創業期ファンドを拡大する動きもある。インキュベイトファンド(東京・港)が20年に立ち上げた5号ファンドは総額250億円と4号ファンドの約2.3倍だ。国内外の年金基金などからも資金を呼び込んだ。
リターンは2~5倍台
村田祐介代表パートナーは「日本のVCファンドが海外勢からも投資先として認識され始めた」と手応えを語る。一つの判断材料が、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA、東京・港)がまとめている国内VC全体の運用成績を示すベンチマークだという。
20年に開示が始まったベンチマークをみると、投資回収が本格化している10~14年設立のファンドは、投資額に対するリターンを示す指標が19年末時点で2.03倍~5.11倍。一定の成果が可視化されたことで、世界的な低利回りに頭を悩ます機関投資家の関心を集め、創業直後のスタートアップにもマネーが流入しやすくなっている。
こうしたファンドの大型化は波及効果をもたらしている。お金以外の支援も求めるスタートアップが現れ、VCが競い合っているのだ。サイバーエージェント・キャピタルは20年に専門チームを立ち上げ、技術開発や広報を支援するサービスを始めた。
一方のスタートアップにとって、ファンドの大型化は調達資金の増加に直結する。ホテル開発・運営のNOT A HOTEL(ノットアホテル、東京・渋谷)は創業数カ月後に、VCのANRI(東京・渋谷)などから10億円を調達した。

米国とは格差大きく
イニシャルの調査では、創業1年未満の企業の資金調達額は20年の中央値で2000万円。ノットアホテルの調達額はこれを大きく上回る。同社の浜渦伸次代表は起業したEC支援会社をZOZOへ売却した連続起業家で、こうした実績をANRIは評価したという。
ノットアホテルは資金を中核人材の獲得に振り向け、メルカリの幹部経験者や外資系金融機関出身者などを採用した。浜渦氏は「事業立ち上げを加速できるほか、何度も資金調達をする必要がないため、事業開発に集中できる」と話す。
ノットアホテルが開発するホテルのイメージ
スタートアップ支援で先行する米国との格差は依然大きい。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、シード期の米スタートアップの調達額は20年の中央値では225万ドル(約2億5000万円)だった。
これに対して、ほぼ同じ時期にあたる創業1年以上3年未満の日本のスタートアップでは調達額が20年の中央値で8000万円(イニシャル調べ)。定義が異なるとはいえ、単純計算で3分の1以下の水準だ。
ノットアホテルの浜渦氏は「事業立ち上げの難易度は上がり、成功にはより大きなお金が必要になった」と指摘する。スタートアップのサービスは飽和気味なうえ、大企業も新規事業に注力しているためだ。VCとスタートアップ双方の競争激化を伴いながら、創業期支援ファンドの大型化は続く公算が大きい。
(香月夏子、山田彩未)

(日本経済新聞)

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