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「株で役員報酬」上場企業の5割超 業績拡大の動機づけ 2021/06/06

企業が自社株式を役員報酬に活用する動きが広がっている。導入企業は約2000社と上場企業の5割を超す見通しだ。株価が上がれば報酬が増える仕組みで、業績拡大の動機づけを強める。ただ米国では役員報酬が高額となり一般社員と格差を生んでいると批判されている。報酬の水準など開示を徹底し外部からチェックできるよう透明性を高める必要がある。
NTTは6月の株主総会で株式報酬の導入を決める。固定報酬の割合を7割から5割に下げる一方、株式報酬を含む変動報酬を3割から5割に拡大。株式報酬は中期経営戦略の業績目標の達成度に応じた株式数を役員退任時に与える。

大阪ガスは退任時まで売却できない制限を付けた株式を役員に与える制度を導入する。6月総会に議案を提出する。「中長期的な企業価値向上と報酬の連動性を高め、株主と価値共有を進める」という。
野村証券によると、株式報酬の導入企業(予定を含む)は5月31日までの累計で1936社と、2020年6月末に比べて14%増えた。株主総会シーズンが終わる6月末には2000社程度に達する見込みだ。
追い風になっているのは、15年導入の企業統治指針だ。役員報酬について「中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべき」と明記。導入企業は指針前に比べて4倍に拡大した。
海外投資家からも株式報酬の導入を求める声は強まっている。税制改正で関連費用を損金算入して税負担を軽減できるようになったのも企業を後押しする。
タイプ別でみると、一定の条件が付いた「譲渡制限付き株式」を役員に配る企業が急増している。数年後でなければ売却できない株式で、中長期視点に立った経営を促す効果があるとされる。続いて多いのが「株式交付信託」型だ。信託銀が手続きを代行するため事務負担が少なくて済む。
今後導入が広がりそうなのが「パフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)」と呼ばれるタイプだ。対象期間後に目標達成度に応じた株式数を配る仕組みで、事前に株式を配る方式よりも、利益拡大の動機づけが働きやすいとされる。
株式報酬は欧米で一般的だ。ウイリス・タワーズワトソンによると、最高経営責任者(CEO)の報酬で株式報酬など長期のインセンティブが占める比率は米国が72%、英国が46%。経営人材の獲得競争が国をまたいで激しくなっており、29%の日本は今後も株式報酬が増える見通しだ。

ただ、米国などで役員報酬が高騰し、批判が強まるようになった。経営者報酬が自社の平均的な従業員の賃金の何倍かを示す「ペイ・レシオ」は米国が200倍超と、日本の数~数十倍を大きく上回る。経営者報酬に株主が意見を表明する「セイ・オン・ペイ」と呼ばれる動きも広がった。
野村資本市場研究所の西山賢吾氏は「株式報酬の比率が高すぎると、経営陣のインセンティブが中長期的に企業価値を高めるより短期的に株価を上げる方向に向かいかねない」と指摘する。
日本でも会社法が改正され役員報酬の決定方針を取締役会で決めるよう義務づけられたが、報酬を巡る情報開示はなお不十分との声が多い。総会後に開示される有価証券報告書の記載では総会時のチェックも難しい。企業は役員報酬の詳細な決め方や水準について透明性を高め、株主や従業員の納得を得られるようにする必要がある。

(日本経済新聞)

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