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韓国、世界視野に大型上場 クラフトンが5000億円調達へ 2021/06/16

クラフトンの代表的な戦闘ゲーム「バトルグラウンド」は世界で10億回ダウンロードされている
韓国ゲーム大手のクラフトンが7月、韓国取引所に新規株式公開(IPO)する。調達額は5000億円規模で、時価総額は2兆円を超える見通しだ。世界で10億回を超える累積ダウンロード数を誇るゲームタイトルを持つ同社の成長性を市場も評価する。狭い国内にとどまらず、世界を見据えて事業展開する韓国企業が巨額マネーを呼び込んでいる。
クラフトンは16日に証券申告書を公開し、上場手続きを開始した。同社は上場時に1006万株を売り出す計画。想定公募価格をもとに計算すると、調達額は4兆6075億~5兆6035億ウォン(4490億~5490億円)となる。2010年上場のサムスン生命保険が記録した過去最高額(4兆8881億ウォン)を上回る可能性がある。
クラフトンは複数プレーヤーが同時接続して楽しむ戦闘ゲーム「バトルグラウンド」を世界展開する。17年の発表からパソコンとゲーム専用機向けで計7500万本を販売。スマートフォン向け累積ダウンロード数は10億回を超える。世界各地でeスポーツの種目として大規模なイベントも開かれる人気作となった。
クラフトンの戦闘ゲーム「バトルグラウンド」はダウンロード数が10億回を超える(写真はドイツで開かれたeスポーツ大会)=ロイター

同社の20年売上高は前年比54%増の1兆6704億ウォン、営業利益は2.2倍の7739億ウォンだった。株主構成は共同創業者の蔣柄圭(チャン・ビョンギュ)氏が筆頭株主で16.4%を保有し、2位株主の中国・騰訊控股(テンセント)グループが15.5%を保有する。
巨額の資金調達が見込めそうな理由は低金利下のカネ余りだけではない。創業時から世界市場を見据えてゲーム開発を進めてきた姿勢が評価されている。
クラフトンのゲームは英語など多言語に対応したオンラインゲームが中心だ。ゲーム規制の厳しい中国を除き全世界にプレーヤーがいる。累計ダウンロード数はインドで2億7000万回、中東アフリカで2億5000万回を記録するなど新興国での人気も高い。膨大な顧客が今後の成長力に直結するというわけだ。
今後は自前ゲームの知的財産(IP)をもとにコンテンツの多角化にも調達資金を振り向ける。

「BTS」所属企業は時価総額1兆円超
人口5200万人の韓国市場に頼らない事業展開で評価される企業は他にもある。例えば、K-POPの筆頭格「BTS(防弾少年団)」が所属するHYBE(ハイブ、旧ビッグヒット・エンターテインメント)。20年は売上高780億円、最終利益84億円の事業規模ながら、時価総額は1兆円を超える。

BTSがインドネシア語やベトナム語なども含む多言語で発信するSNS(交流サイト)は累計1億人のフォロワーを抱える。新型コロナウイルス下で開いた有料オンラインコンサートには191の国・地域から実に99万人が、5000円ほどのチケットを買って画面上のライブを鑑賞した。
ニューヨーク証券取引所に3月に上場したネット通販のクーパンも、事業展開は韓国が中心ながら、株主にはソフトバンクグループや米セコイアキャピタルなど海外の有力ベンチャーキャピタル(VC)が並ぶ。

米調査会社のCBインサイツによると、企業価値が10億ドル(約1100億円)を超える未上場の独立系ユニコーン企業は韓国企業は10社で日本(6社)を上回る。ネットや娯楽などIPを抱える非製造業が多い。

民間シンクタンク、資本市場研究院の李奭訓(イ・ソクフン)専任研究委員は「コロナの影響で産業構造の変化が早まり、これに対する資金需要も高まっている」と分析する。株式市場で資金を調達し、次の成長市場の獲得のために投資を続ける。そんな資本市場の好循環が、16日に3日連続で過去最高値を更新した韓国総合株価指数(KOSPI)を支えている。

(ソウル=細川幸太郎)

(日本経済新聞)

日本、ユニコーン少なく

韓国などと比べて日本で大型の新規株式公開(IPO)が少ない背景には、未上場の段階で大きくなるスタートアップの育成が遅れていることがある。
理由の一つはグローバル志向の起業家が少ないことだ。国内だけである程度の市場規模が見込めるうえ、マザーズなどの新興市場は上場のハードルが比較的低いため、海外に展開するスタートアップが少ない。
「コロナ禍で良い商品やサービスが国境を超えて普及する時代になった。創業当初からグローバル展開を意識したチームを作る必要がある」。日米のスタートアップに投資するWiLの伊佐山元代表はこう指摘する。

リスクマネーの供給規模が小粒なことも影響している。国内のベンチャーキャピタル(VC)はファンド規模が数十億~100億円程度のところが多く、1社あたりに供給できる資金量は数億~10億円程度が中心だ。国内総生産(GDP)に占める新興企業投資の割合も約0.1%と韓国の半分程度にとどまるもようだ。
一方、ユニコーンを生み出すには1社あたり100億円規模の調達が必要。スタートアップは国内にとどまらず、豊富な資金を持つ海外機関投資家からも調達する必要性が高まりつつある。
(新興・中小企業エディター 鈴木健二朗、香月夏子)

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