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世界のユニコーン、5割増 700社突破  米国勢けん引 デジタル化やカネ余りで 2021/07/03

世界的なカネ余りを背景に未上場企業の価値が膨らんでいる。「ユニコーン」と呼ばれる企業価値が10億ドル(約1100億円)以上の有力スタートアップは1年前と比べて5割増え、世界で700社を突破。合計の企業価値(時価総額)は7割近く増えた。新型コロナウイルス禍におけるデジタル化の需要の高まりに加えて、未公開株への資金流入が加速していることが主因だ。
米調査会社CBインサイツのデータを日本経済新聞社が分析した。2021年6月24日時点の世界のユニコーン企業数は729社。20年7月1日時点は478社で、約1年間で53%増えた。ユニコーン数が250社から500社に増えるのには約2年かかったが、今年に入り増加ペースが加速している。
直近1年間で世界で約300社のユニコーンが生まれた。けん引するのが米国だ。ユニコーン数は64%増の374社と2位の中国(22%増の151社)を引き離す。合計の企業価値は約1兆2000億ドルと8割増え、世界全体の過半に達した。

目立つのがインターネット・ソフトウエア関連だ。例えば、1月にユニコーンとなった米ワーカートはマーケティング、財務、人事など社内の業務プロセスを自動化するソフトウエアを提供する。「米国では大企業がコア業務以外を外部の優秀なサービスに任せる動きが広がっている」(インキュベイトファンドUSの野津一樹氏)といい、顧客数はコロナ前と比べて約3倍に急成長している。
ユニコーンの中でも企業価値が100億ドル(約1兆1000億円)以上の巨大企業は「デカコーン」と呼ばれる。6月24日時点のデカコーンは33社と1年前(24社)より4割増えた。このうち9社がフィンテック企業だ。
代表格がオンライン決済サービスの米ストライプ。3月にベンチャーキャピタル(VC)などから6億ドルを調達し、企業価値は950億ドルと1年前の約2.6倍に膨らんだ。調達資金はコロナ禍で大企業のデジタル化の取り組みが加速している欧州での投資に振り向ける。
北欧や中南米でもデカコーンが台頭している。スウェーデンのクラーナはネット通販の代金を後払いできる決済サービスを手掛ける。欧州だけでなく、米国にも進出し、利用者数は世界で9000万人を抱える。スウェーデンは人口は約1000万人と少ないが、現金を使わない「キャッシュレス」で先行し、グローバル志向の起業家が多い。
貧富の格差が激しいブラジルでは銀行口座を持たない人も多い。13年創業のヌーバンクはスマートフォンで手軽に送金や公共料金の支払いができる金融サービスを提供。コロナ禍で外出制限も課される中で利用者を伸ばしており、直近の企業価値は300億ドルと1年前の3倍になった。
背景には世界的な金融緩和で未公開株への資金流入が加速していることがある。伝統的なVCに加えて、プライベートエクイティ(PE)やヘッジファンドなどが投資を拡大。国際会計事務所KPMGの調査によると、世界のスタートアップ投資額は21年1~3月期に前年同期比89%増の1269億ドルと四半期ベースで過去最高となった。
デロイトトーマツベンチャーサポートの木村将之取締役は「PEなどのファンド勢がIPO(新規株式公開)が近づいた成長企業への投資を増やしている」と話す。特別買収目的会社「SPAC」を活用した上場も活発になり、「バイオやエネルギーなど研究開発型の企業にも資金が向かいやすくなった」という。
一方、企業評価額の上昇はカネ余りに支えられている面も強く、投資家からは「2000年前後のネットバブルのように業績面で説明がつかない株価をつける企業も出てきた」との見方も出ている。金利の上昇などでマネーの流入が停滞すれば、一部のユニコーンが苦境に陥るリスクもある。
日本のユニコーン数は6社と1年前に比べて3社増えた。21年に入り、後払い決済のペイディ(東京・港)、人事労務ソフトのSmartHR(同)が主に海外機関投資家からそれぞれ100億円以上を調達し、ユニコーンとなった。
それでもユニコーン数でみた世界順位は11位。人口や経済規模が小さいカナダ(11社)や韓国(10社)に見劣りする。機関投資家によるリスクマネー供給を増やすための規制緩和や、優秀な人材が起業しやすくする環境の整備が課題だ。
(新興・中小企業エディター 鈴木健二朗)

(日本経済新聞)

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