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国内新規公開、14年ぶり高水準 1~6月53社、デジタル化追い風  2021/7/10

国内企業の新規株式公開(IPO)の勢いが増してきた。2021年1~6月は53社が上場し、同期間としては07年以来14年ぶりの多さとなった。新型コロナウイルス禍で企業のデジタル化が進み、関連する技術やサービスを持つ新興勢が成長の加速を目指す構図が鮮明だ。世界的なカネ余りも追い風になっている。
EY新日本監査法人の調査を基に集計した。コロナ禍が直撃した20年1~6月(34社)に比べ19社増えた。記録を遡れる2000年以降でみると、07年1~6月(73社)以来の水準で、08年秋のリーマン・ショック後の最高を更新した。
調達額は約890億円となり、ジャパンディスプレイの上場があった14年1~6月(約1700億円)以来7年ぶりの多さだ。人材サービスの「ビズリーチ」を傘下に持つビジョナルのように企業価値が10億ドル(約1100億円)以上の未上場企業「ユニコーン」の上場もあった。

07年を振り返ると、不動産関連が目立ち、ウィル不動産販売(現ウィル)やアーバネットコーポレーションなどが上場した。当時は不動産ミニバブルといわれ、「土地購入のために資金調達する企業のIPOが続いていた」(楽天証券の窪田真之氏)。
対して21年は「デジタル社会の流れを商機と捉えたサービスを提供する企業が増えている」(いちよし証券の宇田川克己投資情報部課長)。設計図面や帳票をクラウド上で一括管理するソフトを提供するスパイダープラスや、マニュアル自動作成ソフトなどを手掛けるテンダなどが上場した。

企業のデジタル化に伴い、ソフトウエアをクラウド上で提供するSaaSの需要が増している。SaaS型企業を多く含む「情報・通信業」がIPO全体に占める比率は40%(21社)に達し、前年同期に比べ20ポイントほど増えた。

海外市場で資金を募る動きも広がっている。1~6月は全体件数の約3割と、統計で遡れる過去30年の最高ペースだ。既存株主の海外での売り出しを含む資金吸収額は約1381億円と、20年の年間実績(約1014億円)をすでに上回った。
IPOの活況の背景に、未上場企業の資金調達環境の変化を指摘する声もある。EY新日本の善方正義パートナーは「プライベート・エクイティ(PE)ファンドやベンチャーキャピタル(VC)などリスクマネーの出し手が多くなっている」と分析する。
米調査会社ピッチブックによると、国内スタートアップに対する投資額は21年1~3月に約750億円と5年前の2倍強に増えた。6月には人事労務ソフトのスマートHR(東京・港)が計156億円の大型調達を果たした。成長資金を獲得し、上場を目指しやすい環境になっているようだ。

7月も人工知能(AI)を応用した異常検知システムを手掛けるブレインズテクノロジーなど9社の上場が既に決まっている。近年のIPO件数は通年で90社前後が多い。IPO支援などを手掛けるAGSコンサルティングの中村宏氏は「東京五輪後の経済停滞も一時懸念されたが、デジタル化や良好な調達環境を背景に、22年や23年も高水準を維持しそうだ」とみる。

一方で個人の投資意欲には陰りが出ている。20年12月から49社連続でIPO銘柄の初値が公開価格を超えていたが、6月22日に記録が止まり、23日と24日にも公開価格割れが出た。コロナ禍の先行きが依然として不透明ななか、企業の上場機運への変化にも注意が必要になる。

(日本経済新聞)

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