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Stock price market capitalization latest information
米テスラなど、コロナ禍で急騰した銘柄を割高とみる投資家が増えている=AP
新型コロナウイルスの感染下で急上昇したIT(情報技術)など成長株の先行きに対する見方がわかれてきた。米国のヘッジファンドなど機関投資家が提出する四半期報告書を分析すると、持ち高はなお高水準だが、買われすぎへの警戒から下落を予想したポジションを構築する動きがある。
「運用当初は3~5倍だったのに今では15倍だ」。米センパー・アウグストゥス・インベストメンツ・グループの最高投資責任者(CIO)、クリス・ブルームストラン氏は20日、米CNBCのインタビューに答えた。
やり玉に挙げたのはテック株への集中投資で知られるアーク・インベストメント・マネジメント。企業の年間売上高と時価総額を比べる株価売上高倍率を示して、アークのポートフォリオは割高だと指摘した。
センパーは企業の成長力とともに株価が割安かどうかも重視する投資手法だ。アークの旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF」で保有比率トップの電気自動車大手テスラを空売りする。
米国の機関投資家は四半期ごとに投資先の明細を開示する必要があり、報告書は「フォーム13F」と呼ばれる。保有株の変化が市場で注目され、8月中旬にかけて開示された6月末時点の報告ではテックなど成長株に市場の関心が集まった。
米住宅バブルの崩壊を予想したマイケル・バーリ氏の運用会社サイオン・アセット・マネジメントはアークのETFのプットオプション(売る権利)を買い、下落で稼ぐポジションを構築した。これに対し、アークを率いるキャシー・ウッド氏は8月17日、「爆発的な成長と投資機会を生み出す革新について理解しているとは思えない」と反論している。ただ、13FではアークのETFの下落を見込む投資家は多い。
米ローリオン・キャピタル・マネジメントもアークのETFのプットを買い、その枚数はサイオンの5倍強と大きい。米著名ヘッジファンドのムーア・キャピタルはアークのETFのプットを買う一方、ナスダック100指数に連動するETF「インベスコQQQトラスト」のコール(買う権利)を買った。成長株のなかでも巨額の利益を稼ぐアップルなど「GAFA」と成長期待が先行する銘柄と区別する動きが広がっている。
中国政府の統制強化による中国株の下落では損失を被った投資家が多そうだ。
配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は6月30日に米国市場に上場した後に急落し、8月20日時点の株価は7ドル強と公開価格の14ドルの半分程度だ。13Fからは、アクティビスト(物言う株主)のダニエル・ローブ氏や住宅バブル崩壊を予見したジョン・ポールソン氏など著名投資家が運用するファンドが購入したことがわかる。13Fを集計する米調査会社ホエール・ウィズダムによると150社以上が滴滴出行株の保有を報告している。
一方、ジョージ・ソロス氏のファンドは百度(バイドゥ)など中国株の売却が目立つ。一足早くリスク回避に動いたとみられる。
3月末時点の13Fで目立っていた金利上昇に備えたトレードは鳴りを潜めた。大物ヘッジファンド運用者のスタンリー・ドラッケンミラー氏は、3月末までに買っていたシティグループをすべて売却するなど金融株を売った。一方でアルファベットやネットフリックスなど巨大IT企業株を購入している。
ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは19年10~12月から新規投資を始めた食品チェーンのクローガー株を6月末にかけて買い増した。持ち株比率は8.27%と第3位の大株主となっている。(近藤パドリック)
(日本経済新聞)