金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    Federal Reserve Board Chairman Jerome Powell

  • pic

    Wall Street sign near New York Stock Exchange

株価時価総額最新情報

Stock price market capitalization latest information

金利上昇、緩和マネー転機  景気回復期待、成長株は下落 2021/2/28

世界で長期金利が上昇し、マネーの流れが変わってきている。市場が前提としてきた金融緩和と低金利の両輪が崩れ、成長株や低格付け債といった資産からは資金が流出している。金利上昇の背景にある景気回復で需要の拡大が見込まれる銅や原油は上昇が目立つなど、全ての資産が膨張してきた金融市場が転機を迎えている。(1面参照)

26日の米債券市場では長期金利の指標となる10年物国債の利回りが1.4%台前半となった。25日には新型コロナウイルスからの経済活動再開と大規模な経済対策による景気回復への期待感から一時1.6%台まで上昇(債券価格は低下)し、約1年ぶりの水準をつけていた。いったんは落ち着いた格好だが、1.2%だった12日と比べると高止まりしている。
名目金利から予想インフレ率を引いた実質金利も上昇している。月初にはマイナス1%を下回っていたが、25日にはマイナス0.5%台にまで上昇した。
前提としてきた超低金利が突然崩れたことで市場には動揺が広がる。米国債の金利が急上昇する警戒が強いほど数値が高まる指標(VIXの債券版)であるMOVEは、2020年終盤から今月上旬までは40台と過去最低に近い水準にあった。
超低金利が続くとの安心感がそれだけ強かったことを意味するが、今月半ばからMOVEは急上昇し、26日には75.66をつけた。新型コロナの大流行で、米国債市場に流動性不安が生じた20年3~4月以来の高水準だ。
景気見通しの急変で超低金利が長引くという市場のシナリオは修正を迫られている。低い配当利回りの株、金利のつかない金やビットコインを買う理由が揺らぎ始めた。
米長期金利の上昇が加速した15日以降で金融資産ごとの騰落率をみると、金やビットコインを始めとした「全資産膨張」の局面が転換したことが見て取れる。
下落が目立つのが成長期待から買われてきた企業の株式だ。将来の収益を現在の価値に見直して理論株価を算定する際に金利を使う。金利が上昇すると、将来の収益の割り戻しが大きくなり、現在における価値が目減りする。
新型コロナ下でも将来性が評価されてきたハイテク株が多い米ナスダック総合株価指数は6%下落した。26日に前日比4%安と急落した日経平均株価では成長期待から買われてきた半導体関連株の下落が目立った。
米国で人気となっている上場投資信託(ETF)の「ARKイノベーションETF」は16日に付けた史上最高値から18%下落した。過去最大となる4億6500万ドルの資金が流出した日もあった。テスラ株を約10%組み入れるなど、成長株の集中投資で注目を集め、この半年で100億ドル以上もの資金が流入していたが、「期待だけでPER(株価収益率)が上がる局面は終わった」(岡三証券の松本史雄氏)との指摘も出る。
特に実質金利との連動性が高い金では26日、ニューヨーク金先物相場で一時20年6月以来となる安値を付けた。米金利上昇でドル建て債務の負担が増す新興国株も6%下落するなど多くの金融資産から資金流出が進む。

一方で実需を伴う商品市場では価格上昇が続いている。ロンドン金属取引所(LME)の銅の3カ月先物は9年ぶりに1トン9000ドルを突破した。「銅は景気の強さを反映する」(第一生命経済研究所の藤代宏一氏)と、景気回復によって需要が拡大するとの期待から価格が上昇している。
市場では今後、中央銀行が金利上昇を抑え込みに動くかに注目が集まっている。量的金融緩和の強化など、米連邦準備理事会(FRB)には長期金利の上昇を抑える手段も残されている。「FRBから金利上昇をけん制する発言が出れば、株式市場にはポジティブに作用する」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)との見方がでている。

(佐伯遼、ニューヨーク=後藤達也)

(日本経済新聞)

menu