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株や住宅価格、警戒水準 迫るバブルの足音 2021/03/07

新型コロナウイルスの感染拡大から1年。経済危機を防ぐため、各国政府や中央銀行は未曽有の財政出動や金融緩和を続ける。実体経済の回復は遅れ、行き場を失ったマネーが様々な実物資産に流れ込んでいる。平時ではあり得ない、いびつな姿は過去のバブルを想起させる。
中国河北省で伝統薬の材料を商う宋佳文氏は牛の胆石、牛黄(ごおう)の高騰に驚いた。4年前は1キログラム十数万元だった仲買人の提示価格は、50万元(約830万円)と約4倍に上昇。希少価値に目を付けた投機マネーによって価格は上がる一方だ。
子ども用のフェラーリのレプリカが1500万円、ワインのロマネコンティが1本4100万円、野球カードが1枚5億円超。オークションでは世界のあらゆる嗜好品に考えられない値段がつく。
新たな市場も生んでいる。2月19日、昔のコンピューターで書いたような類人猿のドット絵が1億円を超える値段で取引された。世界に一つしかないことをブロックチェーン技術で保証するデジタルアートで、市場規模はこの1年で400倍に急拡大した。
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインは裏付け資産がないにもかかわらず、価格がこの1年で6倍以上に上昇した。米テスラがビットコインに投資をすると、連動して価格が上がる状況だ。
「バブルは崩壊して初めてバブルとわかる」と語ったのは、米連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン元議長だ。仮想通貨からハイテク株、プラチナまで、市場で値が付く金融商品が軒並み膨張する今は、崩壊で大きな衝撃が走る「バブル」か、小さな泡で消える「フロス」か。

市場の過熱度を示す指標には過去のバブル期を上回るものも目立ち始めている。
米著名投資家のレイ・ダリオ氏は「市場への新規参入者数」「市場心理の強気度」など6つの要素から導き出した足元のバブル指数を77%と見積もる。危険度は高いが、100%だった米大恐慌直前やITバブルに比べればまだ余地があるとの見方だ。
日本経済新聞社が市場の過熱感を表す5つの指標を比較したところ、3つが「警戒水準」を示す。実体経済を示す国内総生産(GDP)と株式時価総額とを比べた「バフェット指標」を米国でみると186%に達し、ITバブルやリーマン危機前を大きく上回る。米国の住宅価格を示す指数も住宅バブルといわれたリーマン危機前の水準を上回ってきた。
バブルの黄信号がともるが米国はアクセルを緩めない。
米下院は2月末に総額1.9兆ドルの支出を伴う経済対策を可決した。うち約4000億ドルは給付金として家計に入るとみられる。個人の投資余力が増し、1月下旬の米ゲームストップ株のような乱高下劇が再来するおそれもある。
FRBには量的緩和縮小を示唆し、市場が混乱した13年の「テーパー・タントラム」の悪夢が残る。パウエル議長は「強力な金融緩和を続ける」方針を崩さない。市場は「政策当局は債券などの安全資産を割高に、株などのリスク資産を割安に誘導してきた。この政策は今後数年続くだろう」(UBSのマーク・ハフェル氏)と見透かしている。

積極的な財政出動で各国の債務は拡大する一方だ。20年7~9月では米中欧ともGDPの3倍弱と、過去最大になった。21世紀に入り雪だるま式に膨らむが、金融市場の安定を保つため中銀は資金供給を続けざるを得ない。制御が難しくなり、膨張したマネーが逆回転を始めると経済への影響が大きくなる悪循環に陥っているようにもみえる。
(二瓶悟、上海=張勇祥、ニューヨーク=後藤達也、ロンドン=篠崎健太、富田美緒)

(日本経済新聞)

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