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2021年 M&A助言業務、米銀が上位独占 海外企業絡みで強さコロナ下で再編ニーズ 2022/01/14

2021年の日本企業のM&A(合併・買収)助言業務で、ゴールドマン・サックス証券が2006年以来、15年ぶりに首位に返り咲いた。市場占有率(金額ベース)は28.5%だった。世界的なカネ余りに新型コロナウイルス禍に伴う再編ニーズが重なり、海外企業が絡む案件で強さを発揮した。リーマン危機後の退潮を経て、米系の投資銀行が増勢を取り戻す構図が鮮明になっている。

調査会社リフィニティブが21年末時点のデータを集計した。1位~4位まで米系の投資銀行が独占した。日本企業が関与するM&Aの公表案件は4963件と過去最多を更新したが、実行額では21兆1000億円と前の年から13%減った。NTTによるNTTドコモの完全子会社化や、ソニーの金融子会社の完全子会社化など、大型のグループ再編が相次いだ20年の反動が出た。

ゴールドマンを首位に押し上げたのは、日本企業が海外企業に投資する「IN-OUT」や、逆に海外企業が国内企業に投資する「OUT-IN」案件だ。それぞれ、前の年と比べて17%増の7兆6000億円、2.8倍の2兆円と、国内M&Aが振るわないなかで活況だった。

海外への関与の度合いが差につながった。ゴールドマンのシェアは国際案件に限れば35%に高まる。買収額で96億ドル(約1兆円)と21年最大だった日立製作所による米IT企業グローバルロジックの買収では、被買収側のアドバイザーに就任。パナソニックが71億ドルを投じて米ソフトウエア会社ブルーヨンダーを完全子会社化した案件でも、売り手のブルーヨンダー側についた。

OUT-IN案件への助言でも実績を積み上げた。米ペイパルホールディングスによるペイディの買収では米欧のIT企業との太いパイプを生かし、一時は新規株式公開(IPO)も検討していたペイディのアドバイザーとしてディールの成約につなげた。

2位の三菱UFJモルガン・スタンレー証券は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による米地銀MUFGユニオンバンクの売却でMUFGを支援したほか、ソフトバンクグループ傘下のフォートレス・インベストメント・グループによるアコーディア・ゴルフ・グループの買収でアコーディアに助言した。

一方、20年まで2年連続で首位だった野村ホールディングスは5位に後退した。武田薬品工業による帝人への糖尿病薬事業の売却などに関与し、国内案件では三菱モルガンを僅差で抑え首位に立ったが、海外案件では外資系の後じんを拝した。

00年代、外資系の投資銀行は国際案件を中心に日本企業と海外企業の橋渡し役を担ってきた。日本勢も08年のリーマン危機で財務の弱った海外勢への出資や提携を通じて体制の整備を進めてきたが、米国の企業活動が世界に先駆けて回復する中、ゴールドマンを筆頭に地力で勝る米系の投資銀行が優位に立っている。

22年は「物言う株主の台頭や親子上場の解消といった流れの中で、日本企業でも複数の案件が出そう」(ゴールドマンの矢野佳彦M&A統括責任者)なほか、「プライベート・エクイティ関連は引き続き活況が見込まれる」(野村の角田慎介グローバル・ヘッド・オブM&A)との見方がある。コロナ禍の状況次第で再び国内市場が拡大に転じる公算が大きい。

変化を好機ととらえる日立やパナソニックのような企業とは対照的に、コロナ禍からの回復に手間取り、大胆なM&Aに慎重な企業も多いため二極化が進みそうだ。三菱UFJモルガンの別所賢作M&Aアドバイザリー・グループ統括責任者は「事業再編を通じ、日本企業が国際競争で存在感を発揮できるかどうか。22年は重要な分岐点になる」と話す。

(三島大地)

(日本経済新聞)

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