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23年企業倒産3割増、8年ぶり多さ コロナ前水準近づく 2023/12/26

2023年の全国の企業倒産件数は約8500件と前年比3割強増え、8年ぶりの高い水準になりそうだ。新型コロナウイルス禍での金融支援が急拡大した反動が出た。倒産がコロナ前の「平時」に近づくなか、焦点は企業の資金繰り支援から新陳代謝を促す事業再生や生産性向上策に移る。

東京商工リサーチによると、倒産(負債額1000万円以上)の直近ピークはリーマン危機時の08年で1万5646件。1990年からコロナ前の19年までは年平均1万3000件台だった。

これまでは危機時の支援策が倒産件数の減少につながってきた。09年に金融機関に返済猶予や延長を求める「中小企業金融円滑化法」が成立。13年に失効したが、金融機関は柔軟な融資姿勢を維持して倒産を防いだ。

コロナ禍の20年春に始まった実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)により、倒産はさらに減少した。21年は6030件と1964年以来の低水準となり、22年も6000件台だった。「平時と比べて年1500〜2000件ほどの倒産が抑え込まれた」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)

ゼロゼロ融資は一定期間の元本の返済と利子の支払いを免除し、経営が行き詰まっていた企業も生き残れた。元本の据え置き期間を3年としていた企業が多く、23年に入って反動が一気に表面化した。今年7月には民間金融機関で同融資を利用した約5万社の猶予期間が終わった。

大手通信会社の代理店として通信機器の販売などを手がけてきた三和電信(松山市)は23年8月、松山地裁から破産手続きの開始決定を受けた。コロナ禍で訪問営業の機会が減り業績は悪化。ゼロゼロ融資の返済が迫り先行きの見通しが立たなくなった。

23年の企業倒産による負債総額は約2.5兆円と、前年比1割弱の増加にとどまる見通しだ。1件当たりの平均負債額は約3億円と、バブル経済崩壊後の1991年(約8億円)やリーマン危機の09年(4.5億円)と比べて中小規模の倒産が目立つ。

ゼロゼロ融資の返済開始の山は24年春にもある。民間金融機関で借り入れた約5万1000社が4月に返済を始める見込みだ。

企業の借り入れは膨らんでいる。資本金1億円未満の中小の長期借入金は、22年度末で157兆円とコロナ禍前の19年度比で2割増えた。経常利益の7年分に相当する。過大な債務を抱えるなかで融資の返済に追われれば、倒産の増加傾向が続く公算が大きい。

「2024年問題」も重荷となる。4月から建設業と物流業を対象に時間外労働の上限規制が設けられる。ぎりぎりの人数で対応していた企業は行き詰まる恐れがある。

一方、サービス業を中心に人手不足はなお深刻だ。倒産増が失業者の増加を招く悪循環には陥っていない。11月の完全失業率は前月と同水準の2.5%だった。雇用の受け皿は多く、1年以上の長期失業者は減少傾向にある。

脱デフレへ経済が正常化するなか、今後は企業の新陳代謝をどう促すかが焦点になる。政府は緊急対応的な資金繰り支援を繰り返すのでなく、生き残りの意思と能力のある企業への事業再生へと軸足を移しつつある。金融庁は金融機関向けの監督指針を2024年春に改正する方針だ。

11月下旬に金融庁と全国銀行協会など金融機関との意見交換会が開かれた。鈴木俊一金融相は「資金繰り支援に注力した段階から、事業者支援に取り組む新しい段階に移行する必要がある」と述べた。安易な返済猶予や借り換えの繰り返しでは事業再生が難しくなるとの危機感がある。

スタートアップの育成も課題だ。日本の21年時点の開業率は4.4%、廃業率は3.1%と10%前後の米英を下回る。経済全体の生産性向上には、雇用の受け皿を増やし、人材の移動を後押しする必要がある。

(北島空、湯浅兼輔)

(日経新聞)

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