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3メガ銀「最大賃上げ」競う 採用強化、初任給も厚く 三菱UFJが一時金などで実質8.5% 2024/03/29

2024年度の春季労使交渉で3メガバンクがそろって合併後最大規模の賃上げを決めた。大手銀以外にも基本給を底上げするベースアップ(ベア)や初任給の引き上げで若手に手厚く配分する動きが広がる。産業界でデジタル人材の争奪戦が激しさを増すなか、採用の競争力を高める。

三菱UFJ銀行は28日、ベアを含む給与・賞与の総支払額で3.4%の賃上げを求めていた組合要求に満額回答した。昇格や登用、1人あたり最大15万円の一時金を踏まえた実質値で平均8.5%超の賃上げとなる。賃上げ率は合併で同行が発足して以来最大で、合併前を含めると1990年以来34年ぶりの水準となる。

組合に2025年度以降、20年度から廃止していたベアの交渉を再開する方針も表明した。今回は総支払額ベースだが、ベアとあわせて業績に連動する形で賞与の額を交渉する方式に変える。三菱UFJ銀、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の管理職以上の5600人を対象に株式報酬制度も導入する。

メガバンクでは三井住友銀行が3.5%のベアと株式報酬制度の導入を決めた。三井住友銀は人的資本投資など、みずほ銀行は新人事制度の導入などをそれぞれ勘案すると総額7%程度の処遇改善となる。みずほ銀は過去最大となる3%のベアをする予定だ。

他の大手金融機関でも野村証券が17年度以来7年ぶりのベアと定期昇給をあわせた国内全体で3%程度の賃上げをする。三井住友海上火災保険はベアと定期昇給をあわせ約6%の賃上げで組合と妥結した。賃上げは2年連続となる。日本生命保険は月額5000~1万円規模のベアを決めている。

今回目立ったのは、若手社員への還元を手厚くする動きだ。野村は入社3年目までの若手社員の賃金を平均16%引き上げ、初任給も2万円上げる。大和証券は総合職の新卒初任給を1万円上げて29万円にする。三菱UFJ銀行など3メガバンクの初任給はそろって24年春に25万円以上となる。

日本生命、第一生命ホールディングス、明治安田生命保険、住友生命保険の大手生保4社も初任給の引き上げで足並みをそろえる。住友生命は16年ぶり。初任給の引き上げにあわせ若手社員の待遇も改善する。

大手金融が相次ぎ積極的な賃上げに踏み切る背景には採用競争の激化がある。メガバンクを中心に1990年代後半から不良債権や金融危機に苦しみ、ベアを凍結していた時期もあった。大手総合商社やコンサルティング会社は手厚い給与で人気を集める。大手銀を中心に金融各社の業績は好調だが、デジタル人材などの採用競争は激しさを増す。

厚生労働省がまとめた2023年の賃金構造基本統計調査の概況によると、金融・保険業の平均賃金は39万3400円と全体の31万8300円を上回る。だが過去からの推移をみると産業界全体の賃上げに押され、金融・保険業と他の産業の賃金の差は縮まっている。メガバンク幹部は「若手をつなぎ留める必要もある」と危機感を示す。

連合の24年の春季労使交渉の第2回回答の集計によると、賃上げ率は平均5.25%となった。物価高もあり金融大手も賃上げに乗り出さなければ中途採用を含めた人材の獲得で劣後しかねない状況になっている。

報酬の底上げや人的資本への投資を競争力の強化につなげ、持続的な賃上げにつなげる好循環を創出できるかが重要になる。

(日本経済新聞)

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