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情報を制するものは 坂井修一 2021/05/30

GAFA-BATの頭文字で知られる巨大企業Google、Apple、Facebook、Amazon、Baidu、Alibaba、Tencentが世界を席巻している。これらは、莫大な個人データを集約し、これを活用するディジタルプラットフォーマーである。
GoogleやAppleの経済活動の特徴は、データを集めて上手に広告を打ち、物を売る、ということだけにあるのではない。世の中で商取引が行われ、経済が回るたびに、何らかの収益が自社に還元される仕組みを作ったことだ。
たとえば、スマートフォンのアプリが売れると、取引手数料としてその30%をGoogleやAppleが受け取る仕組みになっている。近年値下げされてきてはいるが、ネットビジネス全体の市場規模が大きくなれば、必ずプラットフォーマーも利益をあげ続け、成長できるやりかたである。
世の中では、こうしたビジネスモデルを、21世紀に創造されたイノベーションだと考える人がいるかもしれない。しかし、これは間違いである。
19世紀後半、インターネットはおろかラジオすらなかった時代に、大英帝国は、世界の電信網を実質的に支配していた。そう。イギリスは、アメリカへ、アフリカへ、インドへ、中国へ、オーストラリアへと、海底ケーブルなど電信網を張りめぐらせ、世界の情報をどこよりも素早く集めるインフラを作ることに成功したのだった。
これが戦争や貿易を有利にしたことは言うまでもないが、イギリスの繁栄はそれだけでもたらされたわけではない。世界中の国々から電信手数料を取り、海運、保険を牛耳り、取引をロンドンに集中させる。世界の経済が回れば回るほど、そのうちのいくばくかが必ずイギリスに還元されて、この国が潤う仕組みを作りあげた。それこそが繁栄の基盤だったのだ。
これ、電信網とインターネットの差、国家と企業の差はあれ、GoogleやAppleが今やっていることと同じやりかたではないか。情報を制するものは世界を制する。人類は150年前からそういうことをやってきたのだ。
(歌人・情報科学者)

(日本経済新聞)

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