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米CEO高額報酬に批判 業績悪化でも微減、株高恩恵  20年度15億円、GE・スタバでは株主反対 2021/07/21

GEの株主総会ではCEOの報酬に対する反対票が58%に上った=AP

米国で経営者の高額報酬に対する批判が強まっている。2020年度の主要企業の最高経営責任者(CEO)の報酬額は19年度比で微減にとどまった。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ業績に比べて減少率は小幅で、従業員給与との差も広がる。ゼネラル・エレクトリック(GE)やスターバックスでは株主の過半数が反対するなど、格差の象徴として圧力が強まっている。

デロイトトーマツグループが、日米欧の主要株式指標に採用されている大企業378社を対象に調べたところ、20年度の米国のCEO報酬額の中央値は15億8千万円だった。前年度から2%減で、主要500社の業績の落ち込み(13%減)よりも小さかった。日本は8%減の1億2000万円、英国は3割減の3億3000万円、ドイツは横ばいの6億9000万円だった。日米の差は13倍と前年度より広がった。

米企業のCEO報酬パッケージは、譲渡制限付き株式とストックオプションの比率が高い。経営者の株価上昇への意識付けをしつつ、高い報酬を支払うことで優秀な人材を集めてきた。米連邦準備理事会(FRB)による大規模な緩和や政府の財政出動によって米株指数は最高値圏まで回復し、各社の株価も上昇。報酬額が膨らんだ。

コロナ禍で人員削減を実施したり、従業員給与を減らしているにもかかわらず、CEO報酬が高額であることへの批判も広がっている。21年の株主総会では、株主が役員報酬への賛否を表明する「セイ・オン・ペイ」で反対票が目立った。

19年比3倍も
GEの株主総会では、ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)の報酬に対する反対票が58%に上った。カルプCEOの報酬は約7300万ドルと前年度から約3倍となった。GEは昨年、カルプCEOがボーナスを受け取る条件である業績目標を引き下げた。一方、リストラなどを通じて20年の従業員数は19年比で約3万人減少。労働組合は高額報酬に反発していた。

スターバックス、AT&Tでも反対票が5割を超えた。コンサル会社の米セムラー・ブロッシーによると、今年に入って株主総会を終えた1906社のうち、3%の企業で役員報酬について反対票が過半数となった。11年以降で最も高い水準だ。セイ・オン・ペイに拘束力はないが、高額報酬に対する視線は厳しくなっている。

米大手運用会社ヌビーンの責任投資担当者ピーター・リアーリ氏は、セイ・オン・ペイで反対が増えた理由について「パンデミック(感染大流行)の影響は大きかった」とみる。「CEOの報酬が業績に見合ったものか、従業員をどう扱ったのか、といった観点で、投資家は従来よりも厳しい目を向けた」という。

一般社員と格差
一般従業員との格差は広がっている。コンサル会社の米エクイラーは米主要500社について、経営トップの報酬が自社の平均的な従業員の何倍かを示す「ペイレシオ」を調べた。6月時点の集計で193倍となり、17年の実績(159倍)から一段と拡大した。米有力企業の経営者は「ステークホルダー資本主義」を掲げ、従業員の待遇改善を約束するが、最大の問題である給与格差はほぼ手つかずだ。

日本の報酬制度は業績や株価にかかわらず一定の固定比率が高い。グローバル人材を確保するなかで、業績や株価に連動させる欧米型の仕組みの導入も進んでいる。投資家のESG(環境・社会・企業統治)への意識は高まっており、「役員報酬の妥当性や開示水準への視線は厳しさを増す」(デロイトトーマツグループの村中靖パートナー)と見られる。
(ニューヨーク=宮本岳則、江口良輔)

(日本経済新聞)

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