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大企業の新興投資枠6000億円 味の素や商船三井 2021/10/22

大企業がスタートアップへの投資を拡大している。味の素や商船三井など事業会社が設立したコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)約100社を日本経済新聞が調べたところ、投資予算枠は合計で約6000億円となった。企業は事業面の多様な支援を組み合わせて投資することが多く、スタートアップが成長しやすい環境が広がってきた。

8月下旬~9月上旬に102社にアンケートを配布し、70社から回答を得た。自社でファンドを設立したり未上場企業専門の投資会社(ベンチャーキャピタル、VC)と組んでファンドを設立したりする企業のほか、スタートアップに直接投資する企業も含めて調査した。

CVCの投資予算枠(複数年を含む)を開示した61社の合計額は6104億円。投資会社であるVCが年間に組成するファンド額約2700億円(2016~20年度平均、ベンチャーエンタープライズセンター調べ)の2倍を超える。投資枠の合計額は1年前に比べて3割程度増えたようだ。20年以降、13社がCVCを設立した。

21年度の投資見通しを聞いたところ、約半数の34社が「投資額を増やす」と答えた。投資先ではデジタルトランスフォーメーション(DX)関連への関心が高い。投資を考えている分野の最多は「人工知能(AI)、IoT」で51%だった。「法人向けネットサービス・SaaS(クラウド経由のソフト提供サービス)」が40%と続いた。

435億円の投資枠を持つ三井不動産はこれまでに45社に投資した。出資先のスタートアップのソフトウエアを導入して従業員同士の情報共有を効率化するなど施設運営のDXを進める。「コロナ禍からの経済回復」を見据え、21年度は投資を増やす方針だ。

脱炭素や社会課題の解決を促す投資も活発だ。3割強の企業が「環境・エネルギー」と「バイオ・医薬品・ヘルスケア」を重点投資分野に挙げた。投資先の選定でESG(環境・社会・企業統治)を意識していると答えた企業は87%に上る。

CVCが広がる背景には技術革新が急速に進むなか、社内だけでは開発が間に合わなくなっていることがある。優れた技術やノウハウを持つスタートアップと組むことで新市場への参入や事業モデルの変革を進めやすくする。スタートアップにとっては、大企業の持つ販路を活用したり、多様な事業部門と連携したりできる。

半面、日本のCVCはスタートアップへの一部出資にとどまることが多い。投資先への支配権を持たないため連携を進めにくく、相乗効果を得られないことがある。企業側の人事異動でCVCの責任者が頻繁に交代し、投資の意思決定が遅れる例も目立つ。

海外に比べて投資規模で見劣りするのも課題だ。米国の20年のスタートアップ投資額は約18兆円と日本の30倍以上だ。CVCも日本は1社あたりの運用規模で110億円以下が8割にも上る。日本ベンチャーキャピタル協会によると、世界のCVCで110億円以下は4割にとどまる。

成果を上げるには、継続的に資金や人材に投資する姿勢が欠かせない。大企業が持つ潤沢な内部留保を活用してリスクマネーを増やせるかが問われる。

(日本経済新聞)

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