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金融&M&A業界最新情報

Financial & M&A Industry Updates

コロナ後意識、世界でM&A 1000億円超案件続々  成長分野のデジタル関連買収 エネは生き残りへ売却 2020/8/21

新型コロナウイルスをきっかけに世界規模での再編が始まっている。市場混乱で一時停滞したM&A(合併・買収)は感染拡大前の水準を回復、今月も1000億円を超える大型案件が相次ぐ。経営環境の激変で、生き残りをかけた事業売却だけでなく、急成長が見込める分野の囲い込みも激しくなっている。金融緩和で資金を調達しやすいことも後押しする。
米ジョンソン・エンド・ジョンソンは19日、米バイオ医薬品大手のモメンタ・ファーマシューティカルズを65億ドル(約7000億円)で買収すると発表した。同日には、武田薬品工業が一般用医薬品(大衆薬)事業を米投資ファンドのブラックストーン・グループに約2500億円で売却する方針を固め、大型案件が連日決まっている。

M&A市場は急回復している。金融情報会社リフィニティブによると、世界のM&Aの金額は金融市場の混乱や外出規制による作業の停滞で4月に1000億ドルを下回り、3月の6割減まで落ち込んだ。しかし6月以降は2500億~3500億ドルと、新型コロナ前の1~3月の平均を上回る。8月も14日までで1400億ドルを超えた。
新型コロナで企業を取り巻く環境は大きく変わった。生き残りに向け、大胆な経営判断をとる必要に迫られている。
コンビニ併設型ガソリンスタンド(GS)をセブン&アイ・ホールディングスに2兆円超で売却する米石油精製会社マラソン・ペトロリアム。新型コロナでガソリン需要が急減、4~6月の純利益が99%減となった。資金を確保し、石油製品の輸送と精製に専念する。
7月はエネルギー電力セクターが金額ベースで全体の4割を占めた。米シェブロンが米シェール大手ノーブル・エナジーを買収するなど、業界再編でコロナ後に備える。
逆にコロナ後に見込む成長を先取りする動きも出る。多くのシェアを押さえれば、将来の利益を総取りできるためだ。

外出自粛と接触抑制で市場が急拡大する料理宅配では、米大手グラブハブを巡り争奪戦となった。米ウーバーテクノロジーズが買収に乗り出したが、米議会から寡占化を懸念され断念。オランダ拠点のジャスト・イート・テイクアウェー・ドットコムが勝ち取った。
家の中で楽しむ娯楽の市場も広がる。米オンラインゲーム大手ジンガはトルコのピーク・ゲームスを買収。スウェーデンに拠点を置くオンラインカジノ大手エボリューション・ゲーミングは同業のネットエントを2000億円で買収する。
M&A活性化の背景には緩和マネーがある。主要中銀の金融緩和で、買収に必要な借入金の金利負担が小さく、大型案件でも手がけやすい。
10億ドルを超える案件は7月に40件と、4月の10件から急増した。米国の株価は新型コロナ前をほぼ回復した。相場下落時に安値で買う局面は終わり、価格が高くても成長に向けて必要な手を打つようになっている。

ただバブルにもみえる状況も見え隠れする。米国では有望な未公開企業を探し買収することだけを投資家に約束して上場した「ハコ企業」が投資家の資金を集め、1兆円を超えるM&Aをする例も出ている。

高値づかみも

企業業績の先行きも不透明で、費用対効果の見極めも難しい。セブン&アイが米コンビニ買収に使う金額は本業の稼ぐ力を示すEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の約14倍だ。高値買収が活発化していた2019年の世界平均の14.6倍(リフィニティブ調べ)に近づいている。

コロナ禍からの経済の回復は鈍く、資金繰りに窮した企業による身売りや事業売却は続く公算が大きい。成長に向けたM&Aは経済の活性化につながるが、高値づかみにはリスクも伴うことになる。

(日本経済新聞)

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