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銀行システム クラウド化の波 米エヌシーノが日本参入  複数業務を統合管理、融資審査 迅速に 2020/11/25

クラウドを活用した銀行システム専業の米nCino(エヌシーノ)が日本市場に参入した。同社は7月に米ナスダックに上場した新興企業で、融資関連のシステムで280行以上への導入実績を持つ。工程ごとに別々に稼働するシステムをクラウドに一本化し、事務負担を軽くできるとしている。
「各国の銀行が抱える課題は共通しており、日本でもこれまでのやり方が通用する」。エヌシーノのピエール・ノーデ最高経営責任者(CEO)は強調する。
同社は2011年の設立後、英国やオーストラリアなど各国の金融規制に対応する形で事業を広げてきた。世界的な低金利で業務効率化を求められる銀行に浸透してきた自信をみせる。日本展開で5カ国目。まずは地銀を中心に売り込むことにしている。
同社はシステムの導入で融資審査を迅速化できるとする。契約までにかかる時間を導入行の平均で約40%削減。営業、審査、財務分析、担保管理など多岐にわたるシステムを一本化し、行員の二重入力や紙での情報共有を廃止。案件ごとの進捗を即時に把握できる。
邦銀は伝統的に自社専用サーバーを抱え、特定のシステム会社と組んで独自のシステムを構築してきた。事業拡大に合わせてシステムを継ぎ足したため、全体の構造は複雑になり、1つのシステムの更改に数年を要することもある。
エヌシーノは共通の基盤としてシステムを提供する一方で、個別の要望に応じ柔軟に仕様を変えるようにしている。クラウド経由で提供し、基幹の勘定系システムに接続しやすい特長を強みに導入先を広げてきた。ノーデCEOは「金融の規制の変化にも素早く対応できる」とする。
16年にエヌシーノの融資システムを稼働した米ノースカロライナ州の地銀、ノースステートバンク。新規顧客の開拓に注力できるようになり、月間の融資件数は2年で2倍強の約450件に伸びた。同業務に関わる費用も約2割削減した。
クラウドシステムは新型コロナウイルス禍でも効力を発揮した。エヌシーノは米国の中小企業向け資金支援策「給与保護プログラム(PPP)」に対応したシステムを開発。融資の業務を一括管理できるようにしたところ、90行以上が導入した。同システム経由の融資実行は500億ドル(約5兆2千億円)以上にのぼった。
日本での営業担当者は「コロナ禍を経て銀行の意識も大きく変わりつつある」と手応えを口にする。社会のデジタル化や業務の効率化の必要性を再確認する先が増えているという。
独SAPや米セールスフォース・ドットコムなど海外勢の進出を受け、メーカーや小売りなどではシステムのクラウド化が定着しつつある。銀行でも大手行を中心にアマゾン・ドット・コムやマイクロソフトのクラウドを使ったシステム開発を広げている。エヌシーノの事業拡大は邦銀独特の商習慣を変える可能性を秘める。
(上田志晃)

(日本経済新聞)

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