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<回顧2020>M&A、グループ再編の潮流  9月、NTTドコモ完全子会社化発表 企業統治を重視し決断  2020/12/30

2020年は日本企業による大型のM&A(合併・買収)が相次ぐ年となった。NTTは4.2兆円をかけて通信子会社NTTドコモを完全子会社化し、セブン&アイ・ホールディングスは2.2兆円を投じて海外企業を買収した。新型コロナウイルスの感染拡大に世界がひるむなか、成長をにらんだ企業の果敢な決断が多く見られた。

日本企業が主導するM&Aで今年目立ったのは、グループの再編を目的としたケースだ。
NTTはドコモを完全子会社化するためにTOB(株式公開買い付け)を通じて一般株主から株式を取得し、ドコモを上場廃止とした。グループが一体となることで、厳しい競争にさらされる通信事業を強化するのが狙いだ。
伊藤忠商事は、5800億円を投じてTOBを実施してファミリーマートを完全子会社化した。経営を効率化することにより、成長性の揺らぐコンビニエンスストア事業を立て直す。他にも、日立製作所やソニーなど、上場子会社を完全子会社化するM&Aが相次いだ。
検討を中断せず
親会社と子会社がともに上場するグループ形態については近年、子会社の少数株主の権利を保護する観点から、問題視する流れがあった。安倍前政権下でコーポレートガバナンス(企業統治)重視の政策がとられ、完全子会社化や売却によってグループを再編しようという機運が高まっている。
NTTを含め今年の大型M&Aの多くは、コロナ禍が深刻になった春より前から検討が始まっていた。感染拡大により経済や市場は混乱したが、「もう先延ばしにはできないという経営陣の危機感がコロナ禍を機により強まった」(投資銀行幹部)。
今年、話題を集めたM&Aの一つがホームセンターなどを展開する島忠を巡る買収だ。同社に対してはまずホームセンター大手DCMホールディングスがTOBを実施。その後にニトリホールディングスがより高い価格での買い付けを表明したことでTOB合戦となり、DCMによるTOBは不成立になった。業界内の勢力を争うM&Aとして注目されている。
デジタル化や脱炭素社会への対応など企業の競争環境はコロナ禍を契機にますます厳しくなっている。「円満」なM&Aばかりでなく、複数社が買収価格を競い合うTOBや敵対的買収も今後さらに増えそうだ。
一方、企業が非中核事業や不採算部門などを売却する際に有力な買い手となるのが米欧などの投資ファンドだ。日本企業に対する投資は、今年も活発だった。米ブラックストーン・グループが武田薬品工業から大衆薬事業を2420億円で買収したのは代表例だ。

勢い増すファンド

ファンドの勢いは増している。事業売却の受け皿になるだけではなく、株式を非公開化しようという企業ニーズがある。後継者不足に悩む中堅・中小企業の事業承継を含め、日本企業への投資機会を求める投資家は多い。
英調査会社プレキンによると、日本企業を対象として今年設立されたファンドの合計金額は、11月末時点で6000億円を超える。過去最高だった17年(約5700億円)を上回ったもようだ。
米カーライル・グループは日本企業に特化したファンドとしては過去最大となる2580億円を調達。国内系のポラリス・キャピタル・グループ(東京・千代田)は直近のファンドの2倍となる1500億円を集めた。スカイマークなどへの投資で知られるインテグラル(東京・千代田)も1238億円のファンドを設立した。


コロナ禍によって打撃を受けた企業を、ファンドが支援する事例も目立った。国内系のJ-STAR(東京・千代田)はペッパーフードサービスからステーキチェーンのペッパーランチ事業を買収。米フォートレス・インベストメント・グループは、施工不良問題で債務超過に陥ったレオパレス21に対して出資と融資を合わせて572億円を投じている。
大手ファンドは資金調達によって投資余力が増えている。ファンドによる企業買収は来年にかけてさらに活発になる可能性がある。

(日本経済新聞)

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