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金融&M&A業界最新情報

Financial & M&A Industry Updates

世界のM&A市場、急拡大 1~3月で過去最大に  「空箱会社」がけん引 緩和マネーに危うさ 2021/04/03

世界のM&A(合併・買収)市場が急拡大している。2021年1~3月に判明したM&Aの金額は前年同期比でほぼ倍増し、同期間として遡れる1980年以降で最も大きくなった。カネ余りを背景に、投資ファンドや急増する特別買収目的会社(SPAC)による買収も金額の押し上げ要因になっており、買収競争過熱による危うさを指摘する声もある。

金融情報会社のリフィニティブの集計によると世界のM&A金額は1~3月期に1兆3000億ドル(約143兆円)を超えた。新型コロナ禍で案件の見送りが続いた20年1~3月期比では9割増と、回復が鮮明だ。すべての四半期を通してみると07年4~6月期以来、約14年ぶりの高水準だった。

最大市場の米国ではM&A金額は70兆円強と、前年同期の約2.5倍となった。新型コロナ禍を受けて事業再編の機運が高まっている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は航空機リース事業を、アイルランドのリース大手に約3兆円規模で売却することで合意した。
成長期待が高いハイテクや半導体関連でも大型M&Aが相次ぎ明らかになった。2月には半導体大手のルネサスエレクトロニクスが同業の英ダイアログ・セミコンダクターを6000億円超で買収することで合意したと発表。米マイクロソフトとチャットサービスを手掛ける米新興企業、ディスコードとの1兆円超の買収協議が報じられるなど、新興テック企業を巡る争奪戦も激化している。
金融緩和であふれるマネーを背景に投資ファンドの活動も活発だ。米投資ファンド大手アポロ・グローバル・マネジメントは3月、保険会社アテネ・ホールディングの買収を発表。株式交換による買収額は約1兆2000億円相当と、ファンド案件では今年最大となった。
有力企業の買収のみを目的とした上場会社、SPACも新たな買い手として台頭している。新規上場時点では事業の実体を持たないSPACは「空箱会社」とも呼ばれる。各国中銀による金融緩和策が強化された20年以降、米国で急増。調査会社のSPACリサーチによると、21年はすでに300件近くのSPACが上場し、10兆円超を調達した。
SPACによる企業買収は世界で25兆円に達し、前年同期の約30倍の規模になった。米国ではM&A全体のおよそ4分の1をSPAC関連が占めた。今後も大型案件が続くとの見方が強い。3月にはソフトバンクグループが投資する米シェアオフィス大手のウィーワークがSPACとの合併を通じて21年後半の株式上場を発表した。
緩和マネーの流入で、有望企業の買収をめぐる競争は過熱感が出ており、M&Aの価格が高騰しているとの指摘もある。割高な買収案件が増えれば、買収先の経営状態が悪化した場合の損失リスクが増すことになる。
買収資金を何年で回収できるかの目安となる「EV/EBITDA倍率」をみると、日立製作所による米IT大手、グローバルロジックの買収案件では22年予想ベースで約29倍。単純計算で資金回収に30年弱を要することになる。業種によって異なるものの一般的には10倍前後とされる水準を上回る。
ルネサスによる英ダイアログ社の買収でも同倍率は15~20倍程度と試算されている。
日立やルネサスなどの案件が出てきたものの、日本企業のM&Aは全体としては本格回復にいたっていない。日本企業が買い手となるM&Aは前年同期比で6%増にとどまった。
米バンク・オブ・アメリカ日本法人のM&A統括責任者、間中章彦氏は「日本企業の対外M&Aへの関心は高いが、株式相場の上昇やM&A市場の競争激化を背景とした、買収対象企業の価格高騰は大きな課題となっている」と話す。
さらに米国市場では「案件が短期間で動くケースも多く、意思決定のスピードや時差の問題から、日本企業にとって案件成約の難易度は高まっている」と指摘する。

(日本経済新聞)

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