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デジタル決済、米欧新興台頭  決済のストライプや国際送金のワイズ 収益化に課題 202107/26

世界のフィンテック企業がデジタル決済をけん引している。米欧を中心に国際送金や電子商取引(EC)の決済を支える有望なスタートアップが生まれ、大型上場も控える。アジアではQRコード決済を軸に金融を広げるモデルが中国から東南アジアなどに波及した。利用者は急拡大しているが、収益化に向けた課題も残る。(1面参照)

「アマゾンキラー」の異名を持つネット通販の構築サイトがある。カナダのショッピファイだ。事業者が最短1日でネット通販サイトを立ち上げ、クレジットカードや電子マネーなどの決済機能を手間なく導入できるサービスを展開する。その裏側の決済基盤を支えているのが、オンライン決済の米ストライプだ。

2010年設立でECだけでなく、配車アプリ、法人向けクラウドソフトなどの決済機能を支える一大プラットフォーマーに成長した。3月時点の企業評価価値は950億ドル(約10兆円)と、フィンテック最大の「ユニコーン」になった。22年の上場観測も出ている。

フィンテックが急成長を遂げる契機は08年のリーマン・ショックだ。欧米当局は危機の教訓から、大手銀行を中心とする金融寡占の是正に動いた。英国では10年以降、参入規制を緩和する競争促進策などを導入し、消費者に近い送金や決済サービスを手がけられるようになった。

英国のワイズ(旧トランスファーワイズ)は7月にロンドン証券取引所に株式を公開し、同証取でテクノロジー企業の新規上場として過去最大を記録した。同社は複数の中継銀行を通す伝統的なルートより割安な国際送金を提供している。

アジアは中国が先行してきた経緯がある。アリババ集団傘下の決済アプリ「アリペイ」、騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「ウィーチャット」は10年代前半から低コストのQRコード決済を始めた。利用者はいずれも10億人を超える。アプリ上の支払い履歴などをもとに個人への小口融資業務なども展開する。

こうした中国モデルはアジア周辺地域にも波及した。シンガポールの配車サービス大手グラブはシンガポールに続き、マレーシアでもネット専業の銀行免許を申請した。決済とともに収益性の高いネット融資を伸ばす狙いがある。インドではペイティーエムやフォンペが利用者が1億人を超えるまでに成長した。

国際送金サービスのワイズは7月にロンドン証券取引所に上場した

ただフィンテック企業は課題にも直面している。中国ではアリペイなど決済データを活用した融資業務などの多角化について、既存金融が脅かされかねないとして当局が規制強化に動く。低コストの決済サービスだけでは利益が上げづらく、安定した収益基盤を得るのも容易ではない。

海外では銀行が外部システムとのデータ連携を可能にする「API」を開放したことでデジタル決済の拡大につながったが、国内の金融機関の動きは鈍い。ソフトバンクグループが投資先のペイティーエムの事業モデルをもとにPayPay(ペイペイ)を立ち上げたように自前での成長にも限界がある。新型コロナ禍で加速するデジタル決済で、日本勢はスタート地点に立ったばかりだ。

(日本経済新聞)

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