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Financial & M&A Industry Updates
【ニューヨーク=大島有美子】
米銀大手が投資銀行部門で働く新人や若手行員の給与を引き上げる。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、シティグループなどで初任給が1~2割ほど上がる。若手の長時間労働やテクノロジー企業の躍進で「ウォール街」の魅力が薄れてきたことが背景にある。
対象は主にアナリストと呼ばれる入社数年目までの若手行員だ。ゴールドマンは大卒で投資銀行業務に携わる行員の初年度の基本給与を引き上げる。米メディアによると、従来の年間8万5000ドル(約930万円)から11万ドルに増える。関係者によると、モルガン・スタンレー、シティグループ、JPモルガンも7月から10万ドルに引き上げた。
例えばJPモルガンでは3年目の従来の給与が9万5000ドルだった。初年度で従来の3年目よりも多い給与がもらえるという大幅な引き上げだ。関係者は「投資銀行業務は業績がよく、過去1年半の取引数や仕事量も極めて多かった。競争力を保ち続けられるよう待遇を見直した」と理由を説明する。2年目以降の給与も見直し、2年目で10万5000ドル、3年目は11万ドルとなった。
「午前9時~午後5時の勤務を想定してこの仕事を選んだわけではないが、朝5時までの勤務とは思わなかった」。2月、ゴールドマンの新人行員ら13人が勤務実態をまとめた資料を公表した。平均睡眠時間は5時間で、1月以降の労働時間は週平均98時間だった。
米銀各社は米国の拠点について7月以降、勤務体制を在宅からオフィス出社へと切り替えるよう従業員に促している。給与の引き上げには、パンデミック(世界的大流行)下で労働環境が変わるなか従業員にやりがいを持たす狙いも透ける。
金融スキルを生かせる米銀以外の就職先が存在感を増していることも背景にある。「優秀な若手がビジネススクールやヘッジファンド、PE(プライベート・エクイティ)ファンドに流れている」。ある大手米銀の行員はこう明かす。ビジネススクールで経営学修士号(MBA)を取得した行員がフィンテックなどテクノロジー系の企業にキャリアを移す流れが人気という。
例えば名門のペンシルベニア大学ウォートン校でMBAを取得した卒業生の就職先をみると、2010年は投資銀行が21%を占め、他の就職先を引き離していたが、20年は12%に下がった。
(日本経済新聞)