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ネット証券「手数料0」拡大  現物株、売買代金の上限上げ 2020/1/11

インターネット証券各社が顧客をつなぎ留めようと「手数料ゼロ」を競っている。投資信託の購入手数料、株式の売買手数料といったコストが下がり、個人投資家にとってはメリットだ。もっとも、手数料ゼロをうたう一方で、その他のコストが増えたケースもある。2019年末に一気に進んだネット証券各社の取り組みをまとめた。

投信はSBI、楽天、松井、auカブコム、マネックスのネット証券大手5社で購入手数料がすべて無料になった。昨年11月にフィデリティ証券が「ネット経由の投信販売をすべて無料化する」と発表。ネット各社が追随した。
これまで購入金額の数%の手数料がかかっていた「ブルベア型」などの投信も新たに初期コストがゼロになった。
投信は運用会社、販売会社、信託銀行が分け合う「信託報酬」も下がっている。SBIアセットマネジメントが昨年9月に米バンガードと設定した米国株投信は信託報酬(税込み、以下同)が年0.0938%と日本で初めて0.1%を下回り、3カ月半で運用資産が100億円を超えた。
上場投資信託(ETF)では三菱UFJ国際投信が今月、信託報酬が年0.0858%と世界最低水準のグローバル株ETFを設定した。
ETFは国内外で購入手数料ゼロが増えている。マネックス、SBI、楽天では「S&P500」など米国ETFの9銘柄が無料だ。国内ETFも各社が約100銘柄で無料本数の「業界最多」を競っている。

現物株をめぐっては、松井、楽天、SBIが売買手数料がかからない1日当たり売買代金の上限を10万円から50万円に引き上げた。最小売買単位であれば、上場企業の9割以上が売買手数料ゼロで買える。東京都の投資歴3年の男性(26)は「個別株にトライしやすくなる」と喜ぶ。
SBIとauカブコムは売買代金にかかわらず現物株の手数料を将来ゼロにする「予定」を明らかにした。現物株では投資家からの収入が完全になくなるということだ。
すでにSBIは私設取引システムの夜間取引、auカブコムは単元未満株の積み立てサービス「プレミアム積立プチ株」で手数料を撤廃した。
各社は手数料に依存しないビジネスで代替収入を得る考えだ。auカブコムはKDDIと組んで広告などデータビジネスを始める。SBIは新規株式公開(IPO)など法人関連収益を伸ばす。楽天は独立系金融アドバイザー(IFA)と連携して新規口座や預かり資産残高を増やす。
信用取引にも波及
手数料ゼロは信用取引にも波及している。auカブコムは昨年12月、株式やETF、不動産投資信託(REIT)といった商品種別にかかわらず、売買手数料をゼロにした。他社もETFとREITを無料にしたり、株式を1日のうちに反対売買する場合のみ無料にしたりした。
ただし、2日以上にわたる株式の信用取引もauカブコムが必ずしも最安とは限らない。同社は制度信用取引の買方への融資金利を年2.98%から3.98%に、売方への長期の貸株料を1.5%から2.25%に引き上げた。
auカブコムと松井には、信用取引の担保として差し入れた株式を他の投資家に貸して「副収入」を得られる仕組みがある。auカブコムは短期で信用売りできる銘柄数を従来の2倍で業界最多の約1000銘柄に増やした。
ネット証券では外国為替証拠金(FX)取引サービスの実質的な手数料「スプレッド」の引き下げも相次いでいる。米ドル・円のスプレッドはGMOクリック、マネックス、auカブコム、SBI、楽天などが業界最安水準の0.2銭程度だ。
ネット証券は対面型の証券会社に比べて固定費を抑えやすく、少額取引でも件数が多ければ利益が積み上がる。手数料を限りなくゼロにする競争は今後も続きそうだ。
個人投資家は取引コストの安さを踏まえつつ、投資商品の品ぞろえ、売買注文システムの使いやすさ、情報提供の内容などで自分の投資スタイルに合ったネット証券を選びたい。
(四方雅之)

(日本経済新聞)

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