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米駐日大使、振り出しに バイデン氏、新たに人選  近年は大統領と「近い」人材 2020/12/2

米大統領選でバイデン前副大統領の当選が確実となり、トランプ政権がワインスタイン氏を指名した駐日大使人事は着任のないまま振り出しに戻る。近年の大使は大統領に近い人物の起用が多い。有事が生じた際に直接連絡できる体制を敷く。
バイデン政権は2021年1月20日の大統領就任式を経て正式に発足する。すでに外交・安全保障の主要人事は固まった。国務長官にはオバマ政権で国務副長官を務めたブリンケン氏が就く。

前大使のハガティ氏が上院選出馬のため19年7月に退任して以降、大使ポストは1年半近くも空席が続く。現在はヤング臨時代理大使が職務を代行しており、空席期間は戦後最長となった。
トランプ政権は3月、保守系シンクタンク、ハドソン研究所所長のワインスタイン氏を次期大使に指名したものの、上院での承認手続きが終わっていない。
大使は大統領選で政権移行があれば交代するのが通例で、バイデン政権は新たな人選を検討する。指名された大使が着任しないまま差し替わるのは異例である。
新大使も議会での承認手続きに3~4カ月程度かかる場合が多く、大使不在はさらに長期化する可能性がある。
東京にある米国大使館に常駐し、日本政府と意思疎通する駐日大使は日米同盟の「窓口」と言える存在だ。歴代大使の人選はその時々の日米関係を映してきた。
戦後に着任した17人の大使は(1)知日派の学者や外交官(2)米政府や議会の重鎮(3)大統領選での功労者(4)大統領の側近――の類型に大別できる。
戦後から1960年代にかけては知日派の学者や外交官が多く起用された。代表的なのはケネディ政権でのライシャワー氏だ。
米宣教師の次男として東京で生まれ16歳まで日本で過ごした。ハル夫人は明治の元勲、松方正義氏の孫だ。この経歴は日米安全保障条約の改定やベトナム戦争で不安定だった日米関係の改善に役立ったとされる。
70年代後半に入ると米政府や議会の大物の着任が相次ぐようになる。日米間で貿易摩擦や基地問題といった懸案が顕在化したのを受けて、米議会に人脈を持つ重鎮を大使に据えた。
たとえばカーター政権で77年に着任したマンスフィールド氏は民主党の上院院内総務を務めた。クリントン政権で93年に就任したモンデール氏はカーター政権の副大統領だった。
モンデール氏は橋本龍太郎政権で沖縄基地の整理・統合問題の調整に奔走し、96年には米軍普天間基地の返還を橋本氏と並んで発表した。橋本氏は通商問題でも「モンデール氏をパイプ役にしたい」とクリントン氏に伝えた。
2005年以降は大統領と個人的な信頼関係がある大使が多い。ブッシュ大統領(第43代)は米大リーグ球団を共同経営したビジネス仲間のシーファー氏を指名した。「大統領に最も近い大使」といわれた。
オバマ政権時のルース氏やトランプ政権でのハガティ氏は大統領選を支援した関係があった。
近年は大使が前面に出て両国間の懸案を処理する場面は少ない。日米関係が安定してきた証しとも言える。2000年代前半に大使を務めたベーカー氏は自伝で「成熟した日米関係に大物大使はもういらない」と明かしたことがある。
一方で、日本は中国や北朝鮮と地理的に近いため、有事に備える意味で大統領と緊密な連携を取れる大使が望ましいとの意見は強まった。
東日本大震災が発災した11年、当時のルース大使はオバマ大統領とクリントン国務長官に連絡して米軍による支援「トモダチ作戦」につなげた。
慶大の中山俊宏教授はバイデン氏も自らに近い人物や選挙で支援した人物を選ぶ可能性が高いとみる。「政策的な知見や日米関係への深い関わりがなくても、大統領と近く知名度が高いタイプの大使が日本にとって有用だ」と指摘する。

(日本経済新聞)

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