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米、再生エネ「第2の電源」に 22年に石炭・原子力超え 2021/07/08

【ワシントン=鳳山太成、ニューヨーク=中山修志】バイデン米政権が再生可能エネルギーへの転換を急いでいる。補助金で投資を後押しする方針で、2022年には発電量で石炭や原子力を上回って天然ガスに次ぐ第2の電源になる見通しだ。トランプ前政権でシェールガスに沸いた米国だが、再生エネ関連の投資で産業構造にも変化の兆しが出ている。
米エネルギー情報局(EIA)は7日、国内の発電量のうち再生エネルギーの比率が22年に22.5%に拡大するとの予測を発表した。天然ガス(36%)に次いで初めて2位に浮上する。石炭(21.8%)や原子力(19.1%)を上回る。
20年は再生エネが19.7%で、同年まで石炭や原子力に次ぐ4位だった。
バイデン政権は風力や太陽光など再生エネの拡大に向けた政策を相次いで打ち出している。再生エネにかかる投資の税額控除の拡大を議会に求める。安価なシェールガスの開発を積極的に後押ししたトランプ前政権から、政策は大きく転換する。
バイデン政権は4月、30年に温暖化ガスの実質排出量を05年に比べて50~52%減らす目標を掲げた。柱となるのが35年までに発電部門を排出ゼロにする計画だ。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標を達成するには再生エネの拡大が欠かせない。
連邦・地方政府は税額優遇措置で風力や太陽光の発電所建設を後押ししてきた。化石燃料を推したトランプ前政権に代わり、バイデン政権が1月に誕生したことで再生エネへのシフトが一段と進む構図だ。
米連邦エネルギー規制委員会(FERC)によると、21年1~4月に新設された風力と太陽光の発電所はそれぞれ3.8ギガワット、2.7ギガワット。あわせて全体の94%を占めた。前年同期は58%だった。EIAは今後1年半で風力と太陽光で50ギガワットが新たに稼働すると見込む。
政策変更にあわせて企業の投資も活発だ。米アマゾン・ドット・コムは6月、米国で11件の太陽光と風力の事業計画に投資すると発表した。全米で年6ギガワット以上の電力を確保し、クラウドサービス「AWS」のデータセンターなどに供給する。

市場の拡大はメーカーも動かしている。米ファースト・ソーラーは6月、6億8000万ドル(約740億円)を投じて中西部オハイオ州に3番目の太陽電池パネル工場を建設すると発表した。生産能力は一般家庭約80万世帯分に相当する。
太陽電池パネルの生産の多くは2010年代、安値攻勢を仕掛けた中国に移った。バイデン政権が掲げる「脱炭素」とサプライチェーン(供給網)の「脱中国」により、再生エネに必要な部材も米国でつくろうとする動きが広がる。
エネルギー省のグランホルム長官は「電気自動車(EV)の需要増に応えるためにも、再生エネの能力を高めなければいけない」と強調する。発電部門で温暖化ガスの排出が多ければ、EVを普及させても必ずしも排ガス削減につながらないからだ。
課題も残る。環境団体は再生エネを劇的に増やした将来の電源構成を明示するよう求めているが、バイデン政権は慎重だ。縮小する石炭など化石燃料業界の反発を懸念する。
国際エネルギー機関(IEA)は5日にまとめた報告書で、21年以降に回復する天然ガスの需要が温暖化ガス排出削減の足かせになる可能性を指摘した。新型コロナウイルス下からの経済回復で、競争力の高い米国の安価なシェールガスの需要が高まれば、バイデン政権の戦略は狂いかねない。

(日本経済新聞)

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