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FRB議長「緩和縮小、年内開始が適当」 雇用回復に自信 2021/08/27

【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日の講演で、米国債などの資産を購入する量的緩和の縮小開始について「7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の際、私の考えは『年内に開始するのが適当だろう』だった」と表明した。雇用回復や新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を見極め、大規模な金融緩和の修正に踏み切る姿勢を打ち出した。

カンザスシティー連銀がオンライン方式で開催した経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の冒頭で講演した。2020年3月に再開した量的緩和の縮小(テーパリング)に着手するため、物価安定と最大雇用の目標に向けた「さらなる著しい進展」の議長の評価が焦点だった。

パウエル議長は「ここ数カ月、労働市場の見通しはかなり明るくなった」と指摘。インフレの加速は自動車関連の供給制約など「一時的」な影響との認識を保ったうえで「インフレは『さらなる著しい進展』を満たしている。最大雇用に向けた明らかな進展もあった」と明言し、テーパリング開始へ条件が整いつつあるとの認識を示した。

18日に公表された7月のFOMC議事要旨によると、「ほとんどの参加者が年内開始が適当」との意見だった。8月に入り公表された7月の就業者数は約94万人増え、伸びは6月を上回った。議長自身が「年内開始」を初めて公言した。

年内に9月、11月、12月の3回を予定するどのFOMCで決断するかは言及しなかった。基本シナリオを狂わせる可能性があるリスクがなお残るためだ。

パウエル議長は5%台の失業率を「依然として高すぎる」と指摘。加えて感染が拡大するインド型(デルタ型)を「直近のリスク」として注視する姿勢を示した。市場では「11月のFOMCで決定、12月中に開始がメインシナリオだろう」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)との見方が出ている。

パウエル議長はFRBが急激に金融引き締めに動くのではないかという市場の懸念を和らげることにも配慮した。FRBは毎月米国債を800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を400億ドル買い入れている。パウエル議長は「今後の資産購入の縮小の時期とペースは、利上げの時期に関する直接的なシグナルを伝えることを意図したものではない」と語った。

いまは「一時的」にインフレが加速しているものの、コロナ危機前は失業率が3%台に下がっても物価上昇率は2%に届かなかった。パウエル議長は「間違った時期の政策運営は不必要に雇用や経済活動を遅らせ、物価を低下させる」と説明。「労働市場に緩みが残り、コロナ感染が続くいま、こうしたミスは特に有害になる」とした。

世界はFRBの政策変更に身構える。新興国はインフレ懸念から利上げに動き、26日には韓国が利上げを決めた。米の金融引き締めでドル高となれば新興国は自国通貨安でドル建ての債務負担が重くなる。緩和マネーの膨張鈍化に景気の減速が加わり、企業や市場の心理が一気に冷える恐れもある。

(日本経済新聞)

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