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テスラもシリコンバレー「脱出」オラクル・トヨタに続き、税軽いテキサスへ 2021/10/09

テキサスへの本社移転を表明したテスラのマスクCEO(7日、同社の中継映像から)

【ヒューストン=花房良祐、シリコンバレー=白石武志】米有力企業のシリコンバレー離れが続いている。電気自動車(EV)メーカーのテスラは7日、本社をテキサス州オースティンに移すと発表した。IT(情報技術)大手のオラクルなどに続く動きだ。シリコンバレーの物価上昇や採用難が背景にあり、テキサス州が先端企業の集積地として存在感を高める。

「カリフォルニア(の拠点)も拡張を続けるが、それ以上にテキサスで事業を拡大する」。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日にオンラインで開いた株主総会で話した。本社をカリフォルニア州パロアルトからEV新工場を建設中のオースティンに移し、成長を加速させる決意を示した。

テスラは2003年の創業以来、事業の中心をサンフランシスコ湾周辺に置いてきた。そんなシリコンバレーを代表する企業が本社移転を決めたのは、物価高とエンジニアらの採用難が原因だ。

シリコンバレーでは、グーグルやアップルなどIT大手の採用拡大に伴い住宅不足が深刻化している。米不動産情報ジローなどによると、20年の1カ月あたりの平均家賃は3266ドル(約36万5000円)と全米平均の2倍近くの水準だ。

マスク氏はオンライン総会後の質疑応答で、シリコンバレー周辺について「人々が家を買うのも、遠くから(工場などに)通ってもらうのも大変だ」と指摘。カリフォルニアでの投資は続けるとしつつも「ベイエリアでは規模の拡大に限界がある」と認めた。

一方、マスク氏はテキサス州の工場について「空港から5分、市街地から15分だ」と言及。立地の良さが本社移転の決め手になったことを示唆した。新工場では主力の小型SUV(多目的スポーツ車)「モデルY」などの生産を計画している。

テキサスの人口は全米でカリフォルニアに次ぐ約2900万人で増加中。消費市場も拡大している。家賃などの生活コストは他州に比べて低く、企業は人材を確保しやすいとされる。西海岸と東海岸の中間にあり、時差や飛行時間を考えると米国全体のオペレーションがしやすいという地の利もある。

米国では、テスラ以外にもテキサスを目指す企業が相次いでいる。シリコンバレーで創業したオラクルは20年末にオースティンに本社を移転した。日本企業の米国拠点では、トヨタ自動車が17年にカリフォルニアからダラス近郊に、三菱重工業が16年にニューヨークからヒューストンに移転した。日本製鉄も21年11月にヒューストンに移す予定だ。

テキサス州の人気を支えるのは、税制面での魅力も大きい。テキサスの企業は「フランチャイズ税」を売り上げなどに応じて支払うが、合計の負担感はカリフォルニアに比べて低い。

経営者や従業員など個人に対する税負担も軽いとされる。米NPO法人タックス・ファンデーションによると、18年度の1人あたりの地元の税負担は4500ドル。ニューヨーク州(約9800ドル)やカリフォルニア州(約6800ドル)を大幅に下回っている。

手厚い保護がないかわりに、税が低いのは州の気風がある。歴史的に個人の独立心が強く、政府に頼らない風土が他州よりことさら強いとされる。このため、州政府も自由主義的な経済政策を採用しており、企業が投資しやすい状況ともいえる。

(日本経済新聞)

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