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危機後、ドルの価値低下 秩序再編で覇権は中国に  米ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者 レイ・ダリオ氏 2020/5/8

新型コロナウイルスの感染拡大で運用環境が大きく変化している。歴史上の経済・金融危機を分析し、2008年の金融危機でも投資収益を確保した米最大のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏に聞いた。
――コロナ危機をどう捉えますか。
前から景気は非常に不安定な状態となっており、コロナが引き金を引いたが経済の悪化はなるべくしてなったといえる。米国のように高水準の債務と貧富の格差が拡大していた国では、中央銀行の力は限界に達していた。これは1930年から45年に起こった経済・金融危機とよく似ている。
中央銀行や政府は資産買い取りのための紙幣印刷によって新たに生み出したお金と信用で所得やバランスシートの大きな穴を埋めるのに必死だ。しかし個人も企業も国も貯蓄のないところではやがて破産に直面する。そして30~45年に起こったように地政学的なパワーバランスが崩れ、世界の秩序が大きく変化する。国同士でも国内でも富と権力を巡る対立が激しくなる。資本主義と社会主義の対立も起こるだろう。
――米国の立場は。
ドルが基軸通貨で、新興国などがドル建て債務をドルベースで返済し、ドルでモノの購入を続ける限り、米国は覇権を維持できるだろう。しかしいずれはドル建て債務の不履行が起こって債務が帳消しになったり、米連邦準備理事会(FRB)によるドル紙幣の印刷が増えたりして、ドルの基軸通貨としての価値が低下する。歴史が示すように英国やオランダの衰退も債務の拡大と通貨の下落とともに起こった。
米国の次に覇権を握るのは中国だ。サプライチェーンやテクノロジーの発展で誰が主導権を握るのかを巡って世界秩序の再編が起こる中で、中国が主役となる。ただ中国の元が基軸通貨になるのには時間がかかる。
――危機時の運用で効果を発揮した「ストレステスト・システム」は、今回も通用しますか。
歴史上の金融危機は同じ理由で繰り返し起こった。それを踏まえ1800年まで遡ってそれぞれの大きな出来事をシステムに入れて私が構築した投資のプリンシプル(原理)にどう反応するかを分析してきた。
残念ながらこのシステムに1918年のスペイン・インフルエンザは含んでいなかった。これは大きな後悔だ。第1次世界大戦直後の経済悪化と重なり、スペイン・インフルの経済への打撃を見逃していた。コロナウイルスの感染が拡大して初めて経済への打撃を認識した。
将来的にはコロナウイルスをストレステスト・システムの要素に加える計画だ。パンデミックに加えて干ばつ、洪水といった気候変動など経済や政治に大きな影響を与える自然災害も加えるようシステムを過去に遡って再構築している最中だ。
(聞き手はニューヨーク=伴百江)

(日本経済新聞)

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