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百貨店JCペニー破綻 米小売り名門、支援の網から漏れる 2020/5/17

【ニューヨーク=野村優子】米国でまた、小売りの名門が経営破綻した。118年の歴史を持つ百貨店大手JCペニーが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。致命傷を与えたのは新型コロナウイルスだが、その前からネット通販などに押され業績が悪化しており、米政府や米連邦準備理事会(FRB)による支援策の網からも漏れてしまった。

JCペニーは法的手続きに入った後でも営業を続けるためのつなぎ融資「DIPファイナンス」を9億ドル(約960億円)確保した。同社は現在、全米に850の店舗と約9万人の従業員を抱える。数週間以内に店舗数の削減策などを示し経営再建を目指す。
同社のジル・ソルタウ最高経営責任者(CEO)は15日、声明で「コロナ前までは再建に向けた戦略の成果が出始めていたが、営業停止を受けて債務削減計画の大幅な見直しが必要になった」と述べた。
米国では高級百貨店ニーマン・マーカスや衣料品チェーンのJクルーなど主要小売業の経営破綻が相次いでいる。小売業は3月中旬以降、新型コロナの影響でスーパーやドラッグストアを除き、営業を停止していた。足元では徐々に再開しつつあるが、なかには「アマゾン・エフェクト」で資金繰りを悪化させていた企業も多い。
JCペニーの2020年1月期の最終損益は2億6800万ドルの赤字だった。赤字は3期連続で、売上高は前の期比8%減の107億ドルと直近ピークの07年1月期に比べて半分に縮んだ。新型コロナが体力の弱い企業をふるいにかけている。
米国で小売業は4200万人の雇用を抱える重要な産業基盤だ。半年後に大統領選を控えるトランプ政権は大規模な経済対策で雇用維持を図っているが、JCペニーなどは新型コロナ以前から経営状況を悪化させており、支援の網から漏れた可能性がある。
3月末に成立した2.2兆ドルの経済支援策は中小企業の資金支援や雇用保護が中心で、大企業が活用できる資金は限られる。特定業種では航空業界向けに総額500億ドルの支援枠を設けたが、小売業を対象とした支援枠は設けられていない。
一方、大企業向けの支援策としてFRBが行う社債買い取りは、3月下旬以降に格付けが投機的等級に転落した企業が対象。JクルーやJCペニー、2月に格下げされた百貨店大手メーシーズなどは、コロナ前から「ジャンク級」であったため、対象に入らなかった。
FRBの企業融資についても、当初の条件は従業員1万人以下または売上高25億ドル以下。これもメーシーズやJクルーなどが対象外となることから、全米小売業協会が「米国で有名な小売業にとって、条件が狭すぎる」とFRBに書簡を送付。4月末に、従業員1万5千人以下または売上高50億ドル以下に対象が拡大されたばかりだった。
「まだ法的手続きに入っていなくても、多くの小売企業が再建に向けた助言を受けている状況だ」。債券データ分析デットワイアのレシュミ・バス氏は、小売業の経営破綻が今後さらに増えるとみる。雇用吸収力の高い小売りで破綻が続けば、失業者の増加や個人消費の落ち込みを通じ実体経済への打撃が強まる可能性がある。

(日本経済新聞)

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