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危機後、中国「勝者」ならず 歴史学者 ニーアル・ファーガソン氏  コロナと世界(18) 新型コロナ ヨーロッパ 北米 2020/5/20

――新型コロナウイルスのまん延と経済危機は地政学的にどのような影響を及ぼすでしょうか。
「米国や中国、欧州連合(EU)といった超大国は機能不全をさらけ出し、死者数が拡大した。感染症の大流行のような危機下では(大国ほど損害が拡大する)『規模の不経済』が如実に表れる。私がイタリア国民だったら、危機に団結して対応できないEUに幻滅したはずだ。EUが解体に向かうとはみていないが、統合が深化することもない」
「うまく対処しているのは台湾や韓国、イスラエル、アイスランドといった比較的小さな国・地域だ。感染症のみならず、あらゆる危機に対して政府の防衛意識が高いからだ」
――米国はコロナ危機で世界のリーダーの役割を果たせていません。中国が覇権に近づく転換点になりますか。
「中国は感染収束後の世界で勝者にはなれない。共産党の一党独裁体制の弱みが全て露呈したからだ。新型コロナの感染が拡大し始めた1月に入っても、中国は世界に事実を隠し続けた。旧ソ連が1986年、チェルノブイリ原子力発電所事故の真実を隠蔽したことを連想させる。習近平(シー・ジンピン)国家主席の指導力には疑問符がついている」
「中国は安いマスクと人工呼吸器を贈り、世界を救うと宣伝しているが、懐疑的に見られている。中国は経済的に他の地域より早く回復するだろうが、国際的な地位は高まらない」
――国際社会における米国の影響力低下はコロナ収束後も止まらないのでしょうか。
「私は『米国が過去に没落した帝国と同じ道を歩んでいる』と主張してきた。だが、中国型のシステムが解になるとは考えていない。チャーチル元英首相はかつて『米国はあらゆる選択肢をやり尽くしたあとに、常に正しいことをする』と語った。米国のシステムは過ちから学び、徹底的に見直す能力を備える」
「01年9月の米同時テロ以降、優れた防御システムを構築し、大きなテロに見舞われていない。コロナ危機でも同じことが起きる。米国は検査体制の整備遅れなど多くの失敗を犯しているが、感染が収束した後は欧州や中国よりも早く問題を克服する。経済活動再開に欠かせないワクチン開発に最初に成功するのはどこか。私なら米国企業に賭ける」
――感染拡大阻止を名目にテクノロジーを駆使した国民の監視が強まる傾向にあります。
「過去の世界大戦で見られたように、自由主義社会でも非常時は個人の自由が制限される。だが国家主導の監視社会がテクノロジーを使ってウイルス検査や接触関係の追跡を実施するのは明らかに危険だ。個人の自由とは両立しない」
「台湾の取り組みは注目に値する。全地球測位システム(GPS)による監視の対象を海外から戻ってきた人に限定した。監視社会までいかずに、感染拡大の阻止に成功している。個人情報は自分で管理し、特別な場合に限って一部を国家に委ねる。ハイテク企業にも渡さない。21世紀社会において重要なことだ」
(聞き手はニューヨーク=宮本岳則)

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